“寝るときだけ”コンタクトレンズをつけて近視を治す!? 「オルソケラトロジー」の効果や向いている人の特徴を医師が解説!
眼鏡やコンタクトレンズを使用すると、激しいスポーツや水中でのアクティビティなどはどうしても制限されてしまいます。そうした悩みを抱える人もできる近視を抑制する治療法があることをご存知ですか? 今回は近視の治療法や適応などについて、「CS眼科クリニック」の宇井先生に解説していただきました。 【イラスト解説】「老眼」を疑う初期症状5選 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
近視とは?
編集部: 近視とは、どんな状態ですか? 宇井先生: 近視とは、屈折異常の1つで、遠くがぼやけてしまい、よく見えない状態を指します。通常は、網膜の位置でピントが合うため、はっきり見えるのですが、網膜よりも手前でピントが合ってしまうことでぼやけてしまうのです。 編集部: なぜ、網膜よりも手前でピントが合ってしまうのですか? 宇井先生: 目の奥行き(眼軸長)が長くなってしまうからです。生まれたときの眼球は短いですが、体の成長に伴って目の奥行きも長くなるため、一定の長さを超えると近視になり、裸眼視力が低下していきます。特に屋外活動の時間が少なかったり、近くを見ることが習慣化したりすると近視になりやすいです。そして一度、眼軸長が伸びてしまうと戻ることがありません。眼軸長の伸びには個人差があり、伸びる人と伸びない人というのは遺伝による要素が大きいとされています。身長と同じで、ご両親が近視だとお子さんも近視になりやすいのです。 編集部: 近視になるのは避けられないということでしょうか? 宇井先生: 近視は一度なってしまうと戻らないので、眼軸長の伸びを抑えることが、近視の予防や進行抑制には重要となります。例えば当院では、近視の進行抑制治療として、自費診療にはなりますが「オルソケラトロジー」と「低濃度アトロピン点眼」をおこなっています。
近視進行抑制治療「オルソケラトロジー」とは? 効果はどのくらい持続するの?
編集部: オルソケラトロジーについて、もう少し詳しく教えてください。 宇井先生: オルソケラトロジーは、特殊にデザインされたコンタクトレンズを用いて、角膜の前面を平坦化して視力を矯正する方法です。近視の進行抑制効果が認められています。従来のコンタクトレンズとは逆の使い方で、夜寝るときにレンズを装用して、日中は外します。 編集部: 寝るときだけでいいのですか? 宇井先生: はい。寝ている間にコンタクトレンズをつけることで、角膜の形状を網膜上にピントが合うような形に補正します。補正された視力は一定時間維持されるため、日中は裸眼でもよく見えるようになります。 編集部: 効果はどのくらい持続するのですか? 宇井先生: 近視の度によりますが最初は半日くらいで、1週間ほど治療を続けると、起きている時間はずっと見えるようになる人が多い印象です。就寝時にコンタクトレンズを装着するという繰り返しで、近視の進行を抑制します。なお、オルソケラトロジーをやめれば、元の視力に戻る可逆的な近視矯正法です。