巨人・原監督が警戒する広島とのCS対決
広島打線は阪神打線より怖い
私は、原監督の「切れるところで切れなくなった」という話にピンと来た。 広島は、堂林というキラ星のような才能を持った三塁手の育成がチームの命題だった。だが、8月20日の中日戦で、堂林は左手に死球を受けて骨折、チームから離れた。皮肉なものだが、堂林がいなくなって三塁のポジションに木村と小窪が入るようになってから広島の快進撃が始まることになる。 巨人のある関係者から、こんな話を聞いた。 「堂林がいると、ピッチャーが楽だったと言うんだよ。(堂林は)打てないポイントがあるので、堂林が次に控えているなら、前の打者と勝負せずともいいし、ひとつアウトが計算できて打線を切ることができる。でも、堂林がいなくなって、打線が切れなくなった。だから、今の広島は阪神打線よりよほど怖い」
助っ人コンビが打線を活性化
堂林の戦線離脱と同時期にエルドレッドが復帰。キラ、エルドレッドが中軸に並ぶことで、ますます打線が活気づいた。球団創設初の優勝を果たした今季の楽天の打線は、ジョーンズ、マギーの補強効果で得点力をアップさせたが、広島にも同じ効果が起きている。 29日の巨人戦での先制タイムリーも3番に入ったキラだった。一回無死二、三塁で外角のボールゾーンのフォークをセンターへ返して2者を還した。巨人の若い先発、小山のフォークに最初は、タイミングが合っていなかったが、粘り強く、打席内で修正を終え、ワンヒットだけに集中したようなバッティングだった。
スーパーエース前田健とつながる打線
投手力は、安定していても得点力のない阪神と、マエケンというスーパーエースを一枚持っていて、しかも、打線がつながり始めた広島のどちらが嫌か? と聞かれれば間違いなく広島だろう。原監督は広島への警戒心を強めている。もうクライマックスシリーズのファーストステージを抜け出てくるのは、阪神ではなく広島になると、心の準備を始めているのかもしれない。 東京ドームでの試合後、インタビューに呼ばれた大竹は、カープの選手の気持ちを代弁するかのように慎重にこう話した。 「また(クライマックスシリーズのファイナルステージで)ここ(東京ドーム)に帰ってきたいです。そのためにも先のことを考えずに、まず目の前の試合をひとつひとつ勝つことです」 広島がクライマックスシリーズで巨人を悩ます風雲児になりそうである。 (文責・駒沢悟/フリーライター、元スポーツ報知広島番記者)