ドラマ『宙わたる教室』が問いかけるもの。「人間の真価はどう決まるのか」
◆年齢や成績が違ったって 第6回。全日制の男子生徒でコンピューター部部長の丹羽要(南出凌嘉)と藤竹、科学部が対立する。藤竹たちが実験のためにコンピューター部の部室を借りようとしたが、丹羽は頑として認めなかった。 成績の良い丹羽が定時制を見下していたことも背景にある。第2回で池本マリが全日制女子生徒に盗みの疑いを掛けられたことにも通じる。偏差値によって人間の価値まで決まると考えがちな風潮の弊害ではないか。 もっとも、丹羽は柳田と打ち解ける。丹羽の弟・衛(小林空叶)の家庭内暴力を柳田が体を張って止め、さらに真摯に相談に乗ったからだ。なにより、年齢や成績が違ったって、柳田たちが夢を持つ同じ高校生であることを丹羽が知ったためである。 科学部はコンピューター部の部室を使い始める。コンピューター部員たちは驚くが、丹羽は「いいんだ」と咎めない。しかし部員たちが科学部を嘲笑すると、語気を強めた。 「あいつらをおまえたちが笑うな!」 丹羽は夢を持つ人間を、そうでない人間が笑うなと言いたかったのである。 今後の科学部は快進撃を始めるだろう。チームワークが抜群だし、熱意もある。エリート意識の強いJAXAの相澤が驚くような成果を挙げるのではないか。 文◎放送コラムニスト 高堀冬彦
高堀冬彦