“ワケあり”専門の不動産屋に聞く、賃貸契約のウラ側。「審査に落ちる人」が利用する“アリバイ屋”とは
アリバイ屋を利用するメリットとは
客層柄、アリバイ屋との関わりが多いため、審査が通りやすい保証会社と通りにくい保証会社や審査に通りにくい人の特徴などが分かってきた。審査を落ちてしまう一般人は、ブラックリストに入っているケースが多いという。 「以前は、大家さんと借主との信頼関係が重視されていましたが、今は保証会社でもCICを確認できるため、この信用情報が重視されるようになりました。ローンの返済履歴などから家賃滞納の心配がないかなどを判断されます。そのため、大手企業の社員であっても、ブラックリストに入っていれば審査に落ちてしまうんです」 ほかにも、身分証明書で落ちる人もまれにいるという。 「あまり知られていませんが、実は運転免許証の番号の最後の一桁は免許証を再発行した回数になっています。なので、最後の一桁が大きい数字の場合は、反社チェックに回されます。そこで犯罪履歴などが見つかると審査は通りませんし、犯罪履歴がなかったとしても、信用に値しないと判断されやすい傾向にあるようです」 近年は、物件のオーナーや管理会社などの利益を守ることを重視しており、入居者のことはあまり考えられてないのが実情だ。昔、テレビで見た「売れない若手時代に、大家さんに謝って、家賃を何カ月も滞納させてもらっていた」という人情話は、今の都心では、もうない。 また、基本的には審査を通るまでチャレンジするが、審査に通りにくい人や落ち続けている人に対しては、通りやすい保証会社を利用している物件を紹介するなどの工夫もしているという。
新たな問題「違法メンズエステ営業」の取り締まり
どうしようもない人や変わった人が多い業界をメインにしている不動産屋なので、ニュースで報道されるような事件や事故はつきものだ。最近のホットな事件といえば、風営法違反の摘発が多い違法メンズエステ営業(以下、メンズエステ)だ。 「ある日、30代くらいの男性が引っ越しをするのにアリバイ屋を使いたいとやって来ました。無職で引っ越しされることも不思議ですし、自らアリバイ屋を利用したいという方はとても珍しいので、何となく怪しみながら契約を進めました」 無事に郊外の1Kタイプの部屋を契約できたが、数カ月後に突然管理会社から連絡が入った。 「『お宅が紹介してくれたお客様が、メンズエステをやってた』と。やはり、そういうことをしていた人だったかと思いました」 メンズエステ営業に気づいたきっかけは防犯カメラだった。不特定多数の出入りを確認したオーナーが立ち入った際に、ほぼ裸に近い姿の女性がいて、問い詰めたところメンズエステ営業をしていたと判明した。 「退去日に立会ったんですが、管理会社とオーナーさんが大変ご立腹で……。お客様の方も荷物を出す時にわざと壁にぶつけるといった嫌がらせをされて、それでまたオーナーさんがお怒りになったりして、見ているこっちはヒヤヒヤものでした。後日談として、退去日にオーナーさんがスタッフから売り上げを取り上げたために、お客様がわざと子どもじみたことをしたと聞きました。本当かどうかはわかりませんけどね(苦笑)」