「薬を飲まない薬剤師」が明かす“薬漬け”のリスク 「1日17錠飲んでいたが現在はゼロ」
最後に薬
私が薬漬けの生活から脱するきっかけとなったのは、厚生労働省が掲げている次のスローガンに気付いたことでした。 〈1に運動 2に食事 しっかり禁煙 最後に薬〉 つまりは、薬を使う以前に生活習慣を見直すことが一番の「治療」だということです。 考えてみれば当たり前の話なのですが、薬剤師としてポリファーマシーに悩む患者さんを何とかしてあげたいとの切実な思いでこのスローガンを見ると、その意味するところが改めて身に染みたのです。そして、私が1日17錠から0錠の生活へと足を踏み出す最初の一歩は、文字通り足を踏み出す、すなわちウォーキングを始めたことでした。それは、単に歩けばいいというわけではない、実に奥深い世界でした。ポイントは「量」より「質」にあったのです。 宇多川久美子(うだがわくみこ) 薬剤師。1959年生まれ。明治薬科大学卒業。総合病院に薬剤師として勤務していたものの、薬漬けの日本医療のあり方に疑問を感じ、白衣を脱いで「薬を使わない薬剤師」として執筆・講演活動などを始める。『薬は減らせる!』『断薬セラピー』『薬剤師は薬を飲まない』など多くの著書があり、累計発行部数は100万部を超える。 「週刊新潮」2024年11月14日号 掲載
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