進学校同士の対決は乱打戦に!不動岡が初回6失点をひっくり返し、サヨナラ勝ち【24年夏・埼玉大会】
<第106回全国高校野球選手権大会埼玉大会:不動岡9X―8越ケ谷>20日◇4回戦◇越谷市民球場 【トーナメント表】埼玉大会 20日までの試合結果 加須市にある不動岡と越谷市の越ヶ谷、県立の進学校同士の対戦となった埼玉大会4回戦。 不動岡は初戦の2回戦は狭山工に5回コールド12対0と大勝したが、3回戦では西武文理と大乱戦の末に11対8と何とか退けての進出である。越ヶ谷も2回戦は5校の連合チームを10対0とコールドゲームで退け、3回戦では開智未来に8対4と勝ってきた。同じような歩みで勝ち上がってきた同士の対戦でもある。 どちらが主導権を握っていくのか注目されたが、初回から凄まじい点の取り合いの展開になってしまった。 先攻の越ヶ谷は打者11人で5安打と四死球、暴投に犠飛もあって大量6点を先取。これで、先発の寺本 健汰投手(3年)も楽に投げられるのかと思いきや、「打撃には、ある程度の自信がある」という不動岡は積極的に打っていき、5番大久保 佳祐選手(3年)の中越三塁打などで4点を返す。立ち上がりから、華々しい打撃戦となった。 不動岡は2回にも二死走者なしから渡邉 渉巴選手(3年)と佐藤 燿平選手(3年)の連続長打で1点差とする。 それでも、試合はここからは落ち着いていく。3、4回はお互いに0を重ね。5回には1点ずつを取り合うという展開になった。不動岡としては追いつけそうで追いつけない。越ヶ谷が逃げていくという形で試合は進んでいき、6回に越ヶ谷が二死から会田 蓮選手(3年)が二塁手の頭上を越える安打で出ると、2番清村 佑木選手(3年)の三塁打で突き放す。 この1点が大きく、試合としてもその後は0を重ねていく形になって9回を迎えた。 2点リードを守りたい越ヶ谷は先発の寺本投手がそのまま続投。不動岡は先頭が簡単に内野ゴロで倒れて一死となる。 しかし、ここからドラマが待っていた。 5番大久保選手が中前打で出ると、続く田口 和選手(3年)も安打で繋ぐ。ここで、越ヶ谷は内野の送球ミスが出て1点差となる。さらに、8回から登板していた不動岡の1番をつけた森 亮仁投手のセーフティースクイズバントは上手く転がり、内野安打となり、同点。なおも一死二、三塁。 ここで、越ヶ谷の福島 直史監督は申告敬遠を指示して満塁策。一死満塁の場面で1番渡邉選手は迷うことなく振り切って、これが遊撃手の頭上を越えていってサヨナラ打となった。 最大6点差からの大逆転に不動岡はベンチもスタンドも大騒ぎ。諦めないで戦うことの大事さを改めて示してくれたと言ってもいいであろうか。 大澤 寛之監督も「本当に、よく頑張ってくれました。後半は、ほとんど選手に任せていたのですけれども、まさかこんな形の逆転になるとは…」と喜びを隠せなかった。母校へ赴任して5年目で、今春から采配を振るうことになった監督は、ベスト16進出に「担当教科は数学なんですけれども、今日は、計算外のことばかりが起きてしまって…。だけど、選手たちはよくやってくれました、素晴らしいです」と、選手の諦めない気持ちと頑張りを称えていた。