「広島大学からパリ五輪目指す」 陸上界の新星・山本匠真選手 がむしゃら練習から「考えて練習」に変わり急成長
注目度急上昇に「ぶっちゃけメンタルが追い付いていない」と笑顔で話す陸上の新星スプリンター。広島大学で卒業論文に取り組みながらパリオリンピック出場を目指す。急激に頭角をあらわした背景には何があったのか。 【画像】日本陸上選手権大会・男子100mで運命の決戦に挑む広島大学工学部4年生の山本匠真選手
広島大学に陸上界の新星あらわる
陸上競技・短距離走の世界に突如あらわれた注目のアスリート、広島出身で広島大学工学部4年生の山本匠真(やまもと しょうま)選手。 2023年の日本学生陸上競技対校選手権大会で男子100メートル3位入賞を果たすと、その後も結果を出し、5月に行われた世界リレーのメンバーに召集された。決勝で第一走者を務め、この種目での日本のオリンピック出場権獲得に貢献した。 山本選手は「ぶっちゃけ言うと、ここまで注目していただけると思っていなかった。世界の舞台に立てるとも思っていなかったので、メンタルが追い付いていないというのが正直な感想です。世界リレーの決勝で一緒に走った選手の中には100メートル9秒台の選手もいました。日本ではめったに一緒に走れないような選手と走ることになったのですが、実際に走ってみて、こういう人たちに勝っていくような選手じゃないと世界の舞台では活躍できないなとすごく感じました。自分のやれることをやって、どこまで上にいけるのかなという気持ちです」と話す。 同じく大学時代に初めて日の丸を背負った新星に、広島出身の男子100メートル日本記録保持者・山縣亮太選手がいる。 山縣選手は「山本選手の飛び出しの鋭さやスタートの低さが持ち味だと思います。世界リレーはすごくいいレースだったなと。同じ広島の空気を吸っているアスリートということで、僕自身はいつも活躍を気にしていますし、伸び伸びと頑張ってほしい」とエールを送った。
「考えて練習するようになった」
大学4年生ということで、現在は研究や卒業論文に取り組む普通の大学生という一面も。高校生までは県大会の決勝レベルだったという山本選手が大学で急成長したのはなぜだろう。 その理由を山本選手は「僕の中ではいろんな要因やプラスがたくさん重なってできあがったものだと思っています。これが一番っていうのは難しいんですけど、あげるとするならば“考えて練習するようになった”というのが一番かなと思います。中学、高校まではがむしゃらに練習していたというか、先生に言われたメニューが何に効くかも考えずにただ量をこなしていた。大学に入って一番最初に言われたのが『成長期だと考えなくても伸びるけど大学に入ったらちゃんと考えないと伸びない』ということ。大学2年生、3年生でじわじわ考えるようになって今では自分の強みもしっかりわかるようになった」と分析している。 「考えて練習する」ーーその手助けとなったのが尾﨑雄祐コーチ。年に3回ほど勉強会を開き、トレーニングに関する知識を教えてきた。 尾﨑コーチは山本選手に対し「彼もよく言うんですけど、最初は陸上部に入るような予定もなかったんですよね。走り方だけではなくトレーニングをどういう方向性でやって、どういう状態になればいいのかしっかりわかっていれば、自分にあった練習量や強度を調整できる。それが一番の強み・特徴の選手なのかなと思っています」と印象を語った。