「バルクオム」の10年が変えたメンズスキンケアと野口CEOが語る未来像
突飛なことをしたからうまくいったという感覚はない。小売店の棚の目立つところに商品を置いていただくための営業が大事なように、オンラインでも同じ発想で、スキンケアを探す男性の目に留めていただく努力をした。
キムタクCMで一気に販路拡大
“ブランディング”に縛られない
WWD:木村拓哉さんを起用したテレビCM(2020年春、21年秋)は話題になった。
野口:これをきっかけに、さまざまな大手ドラッグストアチェーンから商談や問い合わせが入り、3000~4000だった取り扱い店の数は一気に1万以上に広がった。20年10月にはマツモトキヨシ・ココカラファインのグループ1371店舗(当時)で販売を開始し、現在は1万以上の小売店やサロンで取扱いがある。認知拡大はEC販売にも相乗効果があり、現在も売り上げのうちオンライン(公式EC+モール)が6~7割を占めている。
WWD:認知が一気に広がり、ブランディングを舵取りする難しさは感じなかったか。
野口:たまに聞かれる質問だが、僕は“ブランディング”というものついてあまり考えたことがない。「バルクオム」を目的にわざわざドラッグストアを訪れる男性客が多い、というデータが出ていることはうれしい。だが日用品ついででも買っていただければ、ありがたいことだ。ドラッグストア、バラエティーストア、EC、どこで買われるお客さまも「バルクオム」のファンであることは変わりない。そこはフラットに見ている。
他のブランドに「真似されている」と感じることは増えた。だが僕らは真似できないバルク(中身)を作り続けるだけだ。定期購入プログラムを利用いただいているお客さまのエンゲージメントも高く、クオリティーに対する自信は揺らがない。
ヘアケアで圧倒的ナンバーワンへ
メンズビューティの新概念に挑戦
WWD:ヘアケア(2018年発売)、メイクアップ(21年発売)にもラインアップを広げた。
野口:「バルクオム」はかくあるべしというポリシーは全くないし、どんどん変化していく。ブランドを山に例えるなら、スキンケアで一定の成功を収めた今がようやく1合目。2合目は、ヘアケア分野における圧倒的なシェア獲得。すでにどの販路でも売れ筋上位に食い込んでいるが、圧倒的なナンバーワンになれるはずだ。売上規模も今の2、3倍にできる。