「母親らしくない」たたかれてもいい 嫌われることを恐れない、50歳を迎えた千秋の夢
タレント・声優・デザイナーなどマルチな分野で活躍を続ける千秋(50)。「我慢するくらいなら嫌われてもいい」と本音を語る芯の強いキャラクターで、30年間バラエティー番組に求められ続けてきた。娘を持つ母親としては、ハードルを上げない子育てを掲げる。最近では、YouTubeで公開した歌唱動画が話題になり、約20年ぶりに歌手としての活動を再開した。夢に向かってまっすぐに進んできた彼女の生き方に迫る。(取材・文:ラリー遠田/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
「誰も必要としてない」と諦めていた
「50歳になって、タイムリミットが見えてきた感じがします。やりたいと思ったことを後回しにしないで今どんどんやんなきゃって。YouTubeなんて考えたこともなかったけど、もう一回歌いたいと思って始めました」 バラエティーや情報番組で活躍する千秋だが、もともとは歌手志望だった。デビュー当初から事務所に「バラエティーが向いている」と勧められ、しばらくは歌う機会がなかった。 潮目が変わったのは、「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」(日本テレビ系、1996~2002年)。番組内の企画で結成された音楽ユニット「ポケットビスケッツ」(ポケビ)でボーカルを務め、ヒット曲を連発。「NHK紅白歌合戦」にも出場した。 その後、ソロシンガーとしてCDデビューを果たしたが、売り上げが伸びず契約期間が終了。歌手としての活動ができないまま約20年の歳月が流れた。 「歌の仕事をしたいっていうのは事務所に伝えていたんですけど、本当にオファーがなくて。『需要がないし売れないから仕方がないよ』ってずっと言われてきたので、自分でもだんだん洗脳されてきて『私の歌なんて誰も必要としてないんだな』って半分諦めていたんです」 2020年11月、再び歌いたいという思いが抑えられなくなり、自身のインスタグラムで弱音を吐いた。歌いたいのに歌う機会がない現状を正直に打ち明けて、歌が聴きたい人はコメントしてくださいと伝えた。すると、想像以上に多くの温かいコメントが寄せられた。 「すごく嬉しかったです。でも、どうやったらいいんだろうって思っていたら、『オファーを待たなくても、自分でYouTubeで発信すればいいんじゃないですか』ってコメントが来て。あ、そっか、と思って、自分で調べてチャンネルを開設しました」