ヤマハ版ハンターカブ?! の「PG-1」に乗った! 原付二種の遊べるトレールをハンター/クロスカブと比較インプレ
シンプルなメーターには160km/hまで刻まれた速度計(もちろんそんな速度は出ない)、オレンジ色でとても視認性のいいギヤポジションインジケーター、アナログの燃料残量系、そしてオドメーターと各種警告灯があるのみ。ハンドルスイッチ類も何の変哲もなく、横長のミラーは視認性良好。タンデム用のグリップは取り回し時にも便利だ。 セルボタン一発で簡単にエンジンは目覚め、排気音はうるさくない程度に元気がある。印象的だったのはここからだ。 感触のいいシーソー式のシフトペダルを前側に踏み込み、1速に入れる。ちなみに前側ペダルは足の甲側でかき上げる動作もしやすいよう、通常のリターン式と同じ形だ。 スロットルをわずかに開けたところで即座に自動遠心クラッチがスムーズに繋がり始め、そのまま排気量の割に厚めのトルクで優しく発進する。やや高めの回転数で繋がるカブ系に比べるとスタートダッシュは穏やかだが、そのぶん極低速での扱いやすさは抜群だ。ハンドルフルロックでのUターンも簡単だし、これが後で走るオフロードにも生きてくる。 ライダーの触れる部分が馴染みやすく、エンジンも扱いやすい。最初から“コイツとは仲良くなれそう”という気がした。
あちこち乗り回せるモーターサイクル
一般的なテレスコピック式のフロントフォークを採用することで、ハンターカブと同様にステアリングの感触はダイレクト。フロントブレーキの利きは初期が穏やかで握り込むと制動力が素直に高まる。リヤブレーキはドラム式だが、コントロール性は良好だ。 いざ走り始めると、車体がけっこうしっかりしているもののサスペンションの動きは減衰力をあまり感じさせない。ありていに言えばボヨンボヨンした動きなのだが、それはそれでつじつまが合っているような感覚なのが面白い。ホイールトラベルは前130/後109mm、最低地上高は190mmもある。 都内の一般道を走り出すと、前後90/100-16というやや太めのタイヤを装着しているのと、ホイールのスチール製リムによるジャイロモーメントの影響か、左右への切り返しなどは適度な手応えとゆったりした感じがある。IRC製のオフロード色濃いめのブロックタイヤ(GP-5)を履くがグリップに心配はない。 乗り心地は良好で、前述のサスペンションは意外なほどバランスがよく、ステップを擦りそうなほど傾けても全く破綻しそうな気配はない。よく動き、よく踏んばり、ほぼ新車だったこともあってか走行距離が進むごとにどんどんスムーズになっていく。これはエンジンも同じで、どんどんまろやかになっていった。 乗り方はリーンウィズでもリーンアウトでも、なんならハングオフでもよく、昭和の時代にあった汎用性の高いフルサイズ原付を思わせる。最近のバイクでたとえるならスーパーモタードを牧歌的にした感じと言ってもいい。パワーは往年の2スト50ccと大きく変わらない印象(ベトナム仕様では8.9ps/7000rpm)で、下からトルクがあるのでテキトーにも乗れるし楽しい。 ──どうとでも扱えそうな気がしてくる馴染みやすさ。なおホイールは16インチだがタイヤが太めなのでクロスカブ110&ハンターカブとタイヤ外径はさほど変わらない。