F1メカ解説|やばいぞレッドブル! 優位性が消えたチャンピオンチーム、ライバルに追いつくために新旧パーツを続々投入する試行錯誤
ここ数年は圧倒的なパフォーマンスを発揮し、F1界を席巻してきたレッドブル。昨年は22戦21勝と、年間の最高勝率記録を塗り替える、驚異的なシーズンを過ごした。 【動画】20年でF1マシンはどれだけ変わった? 雨のシルバーストンでレッドブルが走行比較 ただ今季はその状況が一変。開幕直後こそ昨年同様の強さを見せたが、次第にマクラーレンやメルセデスがパフォーマンスを上げ、サマーブレイクを挟んで5戦連続でレッドブルが勝利を逃すこととなった。マックス・フェルスタッペンはドライバーズランキング首位を維持しているものの、マクラーレンのランド・ノリスに70ポイント差まで接近されている。またコンストラクターズランキングでは、レッドブルとマクラーレンの差はついに30ポイント。1戦で逆転してしまう可能性もあるほど、僅差に迫っている。 先週末のオランダGPでレッドブルは、パフォーマンス的に苦悩している状況を理解するため、マシンに新旧様々なパーツを投入し、検証を行なったようだ。その一部には、かつて使っていたパーツも含まれていたという。 そしてマシンが”ドライブしにくく”なった理由を理解するために、フェルスタッペンとチームメイトのセルジオ・ペレスのマシンのフロア構成を分け、データ収集にも徹した。 レッドブルRB20のフロアが大きく変更されたのは、エミリア・ロマーニャGPでのことだった。この変更が最近の苦戦の要因となったのかどうか、それを理解することに集中している一方、レッドブルは他の領域でパフォーマンスを引き上げるための試みを続けている。 ハンガリーGPでレッドブルは、フェルスタッペンのマシンにハイダウンフォース仕様のサイドポンツーンとエンジンカウルを投入した。このパッケージは高速サーキットのスパ・フランコルシャンでのベルギーGPでは一時的に取り除かれたものの、微調整を加えた上でオランダGPに再投入された。 このわずかな調整のひとつが、リヤエンドの排熱用開口部の大きさである。オランダではこの開口部を、わずかに小さくしてきたのだった。ただこの部分は、サーキットの特性やコンディションによって変更することが可能。加えてエンジンカウルの側面に存在する冷却用パネルを交換することでも、状況に適合させることができる。