パウエル議長、トランプ氏に従わない可能性示唆-FRB保護のためなら
(ブルームバーグ): パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は7日、トランプ次期大統領から辞任を求められてもそうするつもりはないと述べるとともに、次期大統領には自分や他のFRB高官を解任する権限はないとし、トランプ氏のホワイトハウス返り咲きを受けた政治的圧力から米金融当局を守る意向を明確にした。
連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に記者会見したパウエル議長は質疑応答で、トランプ氏から辞任を求められたら身を引くのか記者団から質問されたのに対し、「ノー」ときっぱりと答えた。
トランプ氏は政権1期目にパウエル議長解任の可能性を検討した経緯があるが、パウエル議長は会見で、トランプ氏には議長や他のFRB高官を降格させたり解任したりする法的権限はないと繰り返し述べた。
米ペンシルベニア大学ウォートン校で連邦準備制度の歴史を研究するピーター・コンティブラウン准教授は「誰も降格させることはできないとパウエル議長が力説しているのは、FRB指導部は皆同じ立場だということだ」と指摘。「これは、FRBの構成について次期大統領に発言権はあるが、欠員が生じるまではそうした権限は持たないと、パウエル議長が宣言したものと考えられる」と話した。
政治色の強い他の質問はことごとくかわしただけに、パウエル議長のこうした発言は特に注意を引くものだった。議長は次期政権がどのような政策を打ち出してくるか推測することは避けた。しかし、2012年にメンバーとして加わったFRBの保護に関わる問題では、はっきりとした姿勢を表明した。
キャピタル・アルファ・パートナーズのマネジングディレクター、イアン・カッツ氏は顧客向けリポートで議長について、「彼は連邦準備制度の独立性が重要であることを固く信じている。大統領の批判を受けて自発的に辞任するなら、独立していないということになる」と指摘した。
トランプ氏が返り咲きを果たした大統領選からわずか2日後のこの発言は、金利政策について発言権を持つべきだと主張する次期大統領と、米金融当局との間の権力闘争の可能性を予感させる。