パウエル議長、トランプ氏に従わない可能性示唆-FRB保護のためなら
今回予想外の大差で勝利したトランプ氏は、しばしばパウエル議長を非難してきた。トランプ氏は18年にパウエル氏をFRB議長に指名したものの、その後すぐにパウエル議長に利上げを中止するよう公に求めるようになった。
強固な制度主義者
パウエル議長はワシントンのエリートの間で育った強固な制度主義者であり、中央銀行の独立性維持の重要性についてしばしば語ってきた。今年早い時期のインタビューでは、そうした独立性堅持の一環としても任期を全うしたい意向を示した。
トランプ氏自身は、大統領が中銀にどれだけの影響を持つべきかについて、挑発的な発言を和らげている。トランプ氏はブルームバーグ・ビジネスウィークとの6月時点の単独インタビューで、自身が当選すれば、パウエル議長に26年までの任期を全うさせると語った。ただ、大統領は少なくとも政策について提案することを許されるべきだとも述べていた。
トランプ次期政権がターゲットにする可能性があるのは、共和党が繰り返し批判してきたバーFRB副議長(銀行監督担当)だ。
トランプ次期政権の有力閣僚候補の1人であるハガティ上院議員(共和)は7日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、バー副議長のポジションを検討する場合、「全てをテーブルの上に置くべきだ」とし、「そこで変化をもたらすために、あらゆる法的な選択肢を検討するつもりだ」と語った。
結局のところ、パウエル議長やその同僚を解任したり降格させたりしようとする試みは、恐らく法廷闘争に直面するだろう。多くの法学者は、大統領にはFRB議長を解雇する権限はないだろうと主張しているが、銀行監督担当の副議長を降格させる法的な道はあるかもしれないと一部の学者は指摘する。
利下げ
一方、9月に0.5ポイントの金利引き下げを行った米金融当局は、7日に0.25ポイントの追加利下げを決めた。当局は今後数カ月間にさらに金利を引き下げると予想されているが、投資家やエコノミストはトランプ氏の当選も念頭に、今回の利下げサイクルで金利がどの程度引き下げられるかについての予想を縮小している。