「韓国バラードの皇帝」ソン・シギョンが日本で「新人」としてスタートした本気の覚悟
デビューから今年は24周年。韓国の音楽界・エンタメ界で活躍し続け、「バラードの皇帝」「鼓膜彼氏」の異名を持ち、男女問わず多くの後輩アーティストたちからリスペクトされる存在のシンガーソングライターのソン・シギョン。コロナ禍からスタートした彼の公式YouTubeチャンネルは、先日登録者数が202万人を突破した。 【画像】K-POPグループもリスペクト&カバーする韓国スター「ソン・シギョン」 今年12月11、12日、東京・立川ステージガーデンで「2024ソン・シギョン年末コンサート〈SUNG SI KYUNG〉 in Japan」を開催する。そんなソン・シギョンさんが日本で活動する上で秘めたる熱い思いについて、前編『「韓国では知らない人がいない」バラードの皇帝・ソン・シギョンが「日本語ペラペラ」な理由』に引き続き後編でより深く語ってくれた。
ショッピングモールで、初心を思い出した
前編の冒頭で触れたが、私は2003年と2005年の2回、韓国・延世大学の野外劇場で行われた音楽祭でデビュー当時のソン・シギョンさんの生歌を聴いている。新人とは思えぬほど人を魅了し、少々軽い言葉で恐縮だが、会場にいた女性やカップルたちが瞬時に歌の世界に引き込まれたのを目の当たりにした。 その後もヒット曲や人気ドラマのOSTなど、韓国での地位を揺るぎないものにしていたことももちろん知っていた。誰もが知っている韓国を代表するバラード歌手であることに異論を唱える人は少ないだろう。 そんなシギョンさんが、日本の活動であるショッピングモールでミニコンサートと握手会を行った、と聞いて正直複雑な気持ちになった。韓国でチケット入手が困難なアーティストなのに、という思いが募った。その思いを率直に伝えてみると……。 「正直な話をすると、マネージャーはちょっと泣きました。日本で活動するには日本での実績が大切なので、一から頑張ることをやってみたいという思いがありました。だから、ショッピングモールでのミニコンサートも握手会もいいんです。ケンタッキーの匂いがする中で歌うのも(笑)、デビュー当時の気持ちにタイムスリップするような、地道に行くんだな、という気持ちになった。 でも、実際にやってみると現実はショッピングモールの中で、やたら背が高い知らない男が歌っていて、ファンになるか、というとそれは少し難しいな、とも感じました。 顔が完全に知られた人生ってそんなに楽しくないですよ。日本ではチャレンジできる何かがある。韓国では顔が知られているので、自由に歩くことが難しい。でも、日本では誰も僕を知らないから逆に自由になれる。自分の足で歩くことでの気づきもあります」