「韓国バラードの皇帝」ソン・シギョンが日本で「新人」としてスタートした本気の覚悟
「あなたはまだ若い」と言われた日本での出来事
今年、シギョンさんは45歳になった。キャリアも積んで、その成果を得ると、冒険に躊躇する人もいる。しかし、シギョンさんは日本市場に進出するという挑戦以外にも、YouTubeなど、新たな挑戦を次々と続けている。その原動力は一体どこから来るのだろうか。 「自分も45歳か、歳を取ったなと実感することはあります。でも、こんなことがありました。東京の大井町のあるお店に行ったときに、女将さんに「どこから来たの?」と言われて、「韓国から来た歌手です」と答えたら、「大丈夫、あなたは大丈夫。まだ若いからさ」って、励ましてくださって(笑)。常連さんが60歳以上の方ばかりのお店だったんですが(笑)。でも、考えてみれば人生はまだまだ長い、そうか、まだまだこれからなんだと実感した出来事でした。 最近よく、「なぜいろんなことに挑戦できるのか?」 という質問を受けます。でも、本来の自分の気質はスタートが遅くて腰が重いタイプです。でも、昔と違って、いろんなことに挑戦しやすい時代になってきていますよね。YouTubeに関して言えば、完璧でなくても、ちょっとミスがあってもそれはそれでありなところもあります。面白そうだなと思ってコロナ禍に始めて、気がついたらYouTuberになっていたという感じです。 日本のスタイルはわからないのですが、僕のチャンネルは基本的に自分でやっています。カメラも自分で買いました。友だちから「一人でやるのは辛くない?」って聞かれますが、大変だけどやりがいがあるし、そこが自分らしいと思っています」
自分一人でやるからこそ、こだわっていること
YouTubeチャンネルのコンテンツのひとつである『ソン・シギョンのマンナルテンデ(会えるのに)』では人気俳優やアーティストたちが料理やお酒とともにするリアルトークが話題になっている。構えないシギョンさんのスタイルについつい本音がポロリと漏れてしまうのかもしれない。 「俳優の方々が僕のYouTubeに出演してくれるようになったのは、俳優のハ・ジョンウさんがきっかけだったんです。なぜか僕のチャンネルに出たいってリクエストをいただいて。ちょうどハ・ジョンウさんが出演した映画のPRの時期でした。でも、お金をいただいてしまうと映画の宣伝っぽくなってしまうので、コンテンツとしてどうなのかなと思って、条件のひとつに映画をしっかり見て、個人的な感想も言ってやりたいってお願いをしたんです。 このときハ・ジョンウンさんとは初対面だったのですが、とても楽しくお話が出来て、映画のPRだけでなくいろんな話をしてくださったんですね。それから、ソン・シギョンのところに出るとおもしろい、と思ってくれたのか、いろんな方々から出演したいという依頼をいただくようになりました。今までご出演いただいた方のお話はみなさん、とてもおもしろかったです。 YouTubeは自分の放送局でもあるので、自分の好きでない人に会う必要がないでしょ。スケジュールが無理といって断ることもできる。だからいいんです。テレビのバラエティ番組では、少し悪いことを言ったりすると、他は全部カットして悪いことを言った部分だけ使われる、みたいなこともあります。YouTubeでも編集はするので、カットする部分はありますが、意味がわからないカットみたいのはないようにしています。 でも、自分で作るからと、自分だけが気持ちよくなるようなアプローチはしないようにしています。これはパク・ソジュンさんが出演してくれたときに話したんですが、演技でも歌でも、自分が感動するのではなく、見る側や聞く側を感動させる、という視点を持つこと。パク・ソジュンさんもそういった視点を大事にしていると聞いてとてもうれしかったですね」