〈奥能登豪雨〉前後に土砂「背筋凍った」 輪島の中屋トンネル 交通誘導員・堂口さん救助
複数人が安否不明となっていた輪島市の国道249号中屋トンネルでは22日、雨が上がった昼ごろに捜索活動が再開され、交通誘導員の堂口英司さん(74)=志賀町里本江=が救助された。堂口さんは「前も後ろも土砂崩れで身動きできなかった。寒いし怖かった」と極限状態を振り返った。 【写真】土砂崩落が起きた輪島市の国道249号中屋トンネル(白丸部分)の復旧工事現場=22日午後3時32分(共同通信社ヘリから) 堂口さんは21日午前9時からトンネル付近で通行車両を誘導していた。大雨で業務が中止となり、自家用車で少し移動したところで、バキバキと木が折れる音と地鳴りがし、前後を崩れてきた土砂に挟まれたという。「背筋が凍った。間一髪だった」と声を震わせた。 ●傘差し一夜、携帯使えず 車が土砂に埋まりそうだったため、21日は車外に出て一夜を明かした。雨の中、傘を差し、仕事で使う誘導灯を手に助けを待ったという。「携帯は使えず、女房にも連絡できないし、死ぬほど心配しとったと思う。不安でさみしかった」と堂口さん。口にしたのは、妻が持たせてくれたおにぎりだけだった。 22日午後2時ごろ、自衛隊員が現れた。堂口さんは「助かったと思った。今晩も覚悟していたが、うれしかった」と生還できた喜びをかみしめた。