中学時代の盟友と聖地でいざ勝負 天理・中村と星稜・垣淵 センバツ
阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開催中の第94回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)で、第4日の第2試合で星稜(石川)との1回戦に臨む天理(奈良)。二塁手の中村律貴選手(3年)と星稜の垣淵祥太朗選手(同)は中学時代、奈良市のクラブチーム「奈良ボーイズ」で二遊間を組んだ元チームメートだ。それぞれの父が監督とヘッドコーチだった。中学時代は多くの時間を共にした2人が甲子園ではライバルとして闘志を燃やす。 【熱血、スマイル…】センバツの歴史に名を刻んだ名将たち ボーイズ時代は中村選手がセカンド、垣淵選手がショート。主将と副主将を務めていた2人の絆は固く、練習がオフの日に遊びに行く時も一緒だった。月に1度は互いの家に泊まり込んで練習し、風呂や就寝前に悩みを打ち明け合った。「気の置けない家族のような関係だった」と中村選手。垣淵選手も「仲良くしていたし、信頼していた」と振り返る。 互いに成長した姿を見せたい。直接対決に懸ける思いはひとしおだ。垣淵選手は「うれしい気持ちもあるが、戦う以上は敵なので真っ向勝負で臨みたい」。中村選手も「最高の試合をしたいし、勝って(垣淵選手の)上を行きたい」と力がこもる。 息子たちの活躍を2人の父も心待ちにしている。今もボーイズの監督を務める中村選手の父勝治さん(45)と、ヘッドコーチで垣淵選手の父充洋さん(46)は1学年違いの天理OB。2017年、部員不足で休止状態だった奈良ボーイズの新たな指導者となり、チームの再建に尽力したツートップでもある。 中学時代の息子たちは「似たもの同士だった」と勝治さん。「周りより背が低かったが、野球への情熱は人一倍持っていた努力家の2人。互いに父を追い越そうと育ってきたからかもしれない」と話す。 白球を追う両選手を、時に昔の自分たちに重ねながら見守ってきた。高校時代はいつも2人でグラウンドへの散水をしていたという勝治さんと充洋さん。息子たちが練習中にグラウンドでホースを持つ姿を見て、「昔の俺らやな」と懐かしみながら写真を撮った。「兄弟のように接してきた2人。対決が決まった時は野球の神様からのプレゼントだと思った」と充洋さんは笑う。 試合当日はそれぞれ息子がいるチームのアルプススタンドで応援する。勝治さんは「勝ち負けも大事だが、悔いの無いよう全力で楽しんでほしい」。充洋さんも「120%の力を出し切ってほしい」と期待を寄せる一方、「反対側のスタンドからは初めて聴く天理の応援も楽しみ」と話した。【吉川雄飛、深尾昭寛】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。