DAZN社長が激白!「値上げの理由」「無料配信戦略」から「収益多角化」まで
――コアなサッカーファンは育成年代からJリーグ、海外サッカーまで全部見たいと思いますが、現状ではDAZN以外の契約も必要になります。初心者には、どこの配信サービスで何が見られるのかを調べるのもハードルが高い印象です。 「いろいろな配信サービスと契約しないと、見たいサッカーを全部見られないではないか。DAZN一本でまとめてくれ」という声は頂戴しています。 DAZNだけでやるのが正しいのかという問題はありますが、全ての要望にお応えできないのは歯がゆいですし、DAZNとして全部捉えたい思いもあります。そこは企業努力をしながら、投資を検討していきたいと思います。 ――収入の多角化について、具体的なイメージはありますか。また、将来的なスポーツベッティングの解禁についてはどう考えていますか。 月額のサブスクビジネスが土台ですので、しっかりと引き続き成長を築いていく。伸び代として一番高いのは広告です。現段階では願望になりますが、将来的には1:1ぐらいにはなってほしいですね。この2つが伸びると、マーチャンダイジングなど他の収益も加速しやすいはずです。 ベッティングは、本国のDAZNでは始めているので、プラットフォームとしてはできています。ただし、ベッティングは法令だけではなく、教育やご理解いただく文化、いろいろな要素を見ながらご提供していかないと無責任だろうと考えています。 とはいえ、海外ではベッティングはスポーツ団体に貢献している仕組みです。日本でもスポーツ業界を活性化する起爆剤になるのであれば、将来的に提供する可能性は十分にありますし、重要な収入源の要素になると思います。 ――AIなどデジタル活用についてはどうでしょうか。 個人的な話になりますが、DAZNに来た理由の一つに、スポーツ分野においてAIの可能性を感じたということがあります。スポーツは人間の感情が表現されやすいコンテンツです。だからこそ、その体験を豊かに、簡潔に見てもらうためにAIの技術はものすごく貢献するはずです。 ――在任中にこの部分は絶対に達成したいという目標は。 風呂敷を広げてはいけないと思いますが…、いろいろな意味でパラダイムシフトを起こしたいですね。スポーツの観戦方法もそうですし、ビジネスの手法もそうです。 ヒト、モノ、カネを意識ながら、最初の30日でここまで、次の60日でここまでと、時間を区切りながら事業を見ていきます。具体的な数字では、収益は2桁成長、同時に会員数も着実に伸ばしていきたいと考えています。 中長期の目標としては、スポーツを通じて日本を豊かにしていきたい。スタジアムの集客は好調でも、日本の野球人口は減っています。少子化で中学・高校の部活の廃部が増えている中、もう一度、野球熱、サッカー熱を高めることに寄与したい。事業としても向き合っていきますし、個人のテーマでもあります。
ダイヤモンド編集部/篭島裕亮