カンセロは居場所を失い、ヤン・コウトは移籍 SBとして異質なリコ・ルイスの未来を考える
本人は8番でプレイしたいようだ
昨季はバルセロナにローン移籍していたジョアン・カンセロが所属元であるマンチェスター・シティのトレーニングに復帰した。アメリカで行われたプレシーズンマッチには参加しておらず、ペップ・グアルディオラの構想には入っていないのだろう。 以前はカンセロに加え、オレクサンドル・ジンチェンコ 、少し時間を遡ってバンジャマン・メンディ、アンヘリーノ、ファビアン・デルフ、ガエル・クリシー、アレクサンダル・コラロフ、ヘスス・ナバスと多くの攻撃的で、守備的ではないサイドバックを起用してきたペップだが、近年その考えが変わり、守備的な選手をサイドバックとして使っている。 ネイサン・アケ、マヌエル・アカンジのようなセンターバックにサイドバックを任せる起用法はシティの安定感を著しく向上させた。以前までのシティは相手を押し込むがゆえに、背後に広がるスペースが弱点だった。天敵であるトッテナムはこのスペースを使うのがうまく、ハリー・ケインやソン・フンミンに幾度となくカウンターからゴールを奪われた。 この傾向が強くなってからは守備がベースにないサイドバックはチームで居場所を失っていった。カンセロやジンチェンコがまさにそうで、昨季ジローナで活躍したヤン・コウトもシティに戻らずドルトムントへ移籍している。レアル・ソシエダに移籍したセルヒオ・ゴメスもその1人だろう。 アカデミー出身のリコ・ルイスはいわばジンチェンコタイプだが、チームで生き残り続けている。1番手ではなく控えではあるが、今のシティにとってルイスは異質な存在なのだ。 サイドバックでプレイするルイスは狭い局面でもボールを前進させることに長けている。味方とワンツーで駆け上がる姿は何度も見た光景であり、プレシーズンマッチでは同じ右サイドのオスカー・ボブと躍動していた。 フィル・フォーデンと同じ生え抜きであるルイスの未来はどうなるのだろうか。ここまで述べた通りルイスのようなタイプのサイドバックはシティで居場所を失っている。ルイスがアカデミー出身だからなのか、それともIQが高いからなのか、シティでの日々は続いている。 ただ、現状の流れからサイドバックとしてカイル・ウォーカーらを抑えて1番手になるとは考えにくい。明らかにフィジカル面で問題を抱えており、小柄であることから空中戦で狙われることもある。 考えられる未来はポジションを本格的に中盤へ移すこと、もしくは監督の交代だろう。 スタートから中盤でプレイすることは昨季何度かあった。悪くないパフォーマンスを披露しており、継続することで開花する可能性は十分に考えられる。本人も中盤での出場を希望しており、過去に英『Daily mail』では「より攻撃的な8番としてプレイしたい」と語っている。 守備的な選手をサイドバックで起用するペップとシティとの契約は今季限り。指揮官が変わればこの考え方も一新されるだろう。 19歳ながらシティの一員として戦力に数えられているルイス。ただビッグマッチで起用されることは少なく、フリアン・アルバレスのように移籍を志願されてもおかしくはない。
構成/ザ・ワールド編集部