イチロー氏「何にも出てないよね!データに!」「その感性、大事にしてね」母校に伝えた熱きメッセージの真意
投球の回転数や回転軸などの幅広いデータが取得可能であり、バッティング練習でも、一球ごとに打球の速度と角度を測定出来る。厳しさだけでは通用しなくなった今の時代、試行錯誤を続ける指導者にとって、データは選手に説得力を持たせるための材料でもあった。 イチロー:このデータのシステムは… 倉野監督:このデータは4年ぐらい イチロー:それと結果は比例しました? 倉野監督:4年間ずっと勝てる(甲子園に出場)秘訣の一つ… イチロー:高校野球で導入してるところは? 倉野監督:ここまでやってるところは聞かんな、ここまで設備が整ってるとか… ■「怖いなと思いました…プロにとっても邪魔なんです」 最新鋭とも言える施設を見た時の事をイチローさんは後日に振り返った。 イチロー: あれは怖いなと思いました。高校生どころかプロにとっても邪魔なんです。そういう練習があっていいんだけど、毎回あれされたら、準備段階からそれされちゃうわけだから、全く必要ない。 イチローさんはデータを否定している訳ではない。選手がデータを鵜呑みにする事に危機感を抱いているのだ。だからこそ、後輩たちにも考える事を大事にして欲しかったのだ。 ■自分で考えて動いてほしい「感性が消えていくというのが現代の野球」 イチローさんが母校のグラウンドに姿を現した。待っている部員達の間から拍手が起こる。 イチロー: いや、拍手いらないから。後輩、拍手いらないよ。はい、こんにちは! 部員:こんにちは! イチロー: はじめましてだよね、みんな。イチローです…秋の成績は? 部員:ベスト16でした。 イチロー: そんなの1回戦負けと一緒でしょ、愛工大名電にとっては。どうなの今の状態は?みんないい身体してるけど、鍛えている感じあるけど、どう? イチローさんがさらに問い掛ける。 イチロー: 今、寮から始まって、雨天練習場、球場見学をさせて貰いました。いろいろなデータを参考にしながら頑張っているって聞きました。気になったのは、いろいろな事がデータで見えちゃうでしょ。でも見えてないところをみんなは大事にしているんだろうか…野球ってそれだけじゃない事あるよね、気持ちがどう動くとか、感性。データでがんじがらめにされて、感性が消えていくというのが現代の野球。自分で考えて動く。一緒に動くので。