“手の付けられない空き家”の発生を防ぐために…高齢の親族を持つ人には「事前の対処」が求められるワケ【空き家問題のプロが解説】
これからの長寿社会、「事前にできること」はしっかり確認して
私はつくづく思いました。これからの長寿社会では、ちょっとしたケガや入院、施設への入所から認知症の症状が出たり、寝たきりになるようなケースがますます増えてきます。 私の叔母だって、1週間前までは、妻と冗談を言いながら電話していたのですから、突然想いも寄らない急変を高齢者は抱えているのです。 このようなことは、皆さんの身の回りにも起こりうるということです。これからは、このような突然の出来事も起こりうると思って、事前にどのような手が打てるか、対処法を考えて学んでおかなければなりません。 ちゃんとその対処法はありますので、私のようなとんでもないことにならないよう心掛けてください。私も事前にこの対処法をしていれば、かなりスムーズだったと思います。 これからは、年齢とともに日常の生活ができなくなり、介護を受けたり入院したりして、そこで長く生き続けるようになります。衰えると、記憶の喪失や字も書けなくなりますので、いろいろなことを判断してサインすることや適切に応えることができなくなります。 そんなときに、家族であるあなたはどう対処できますか。ハンコも押せないのですから、家の火災保険だって新しく契約できません。施設に入所して住まなくなった家だって、本人に意思決定能力がないと見なされると、自宅の処分さえできません。 所有者が生きていても、判断能力がなく、物件を処分することができなかったり、人が住まないのに手がつけられなくて荒れ放題になってしまっている家もたくさん出てきています。相続が発生する前から、すでに手のつけられない家が生まれています。長寿社会が現代の空き家増加の大きな要因になっています。 空き家問題は、このような状況になる前から事前に対処しておかないと解決できない問題です。相続してからなら相続人になれますが、まだ本人は存命で法律行為ができないと、すべての資産は、まるで凍結されたような状況で誰も手出しができなくなるのです。 そのとき、あなたはどうしますか?
三木 章裕