【大学共通テスト】志願者は2万人減少 私立大専願者の「テスト離れ」今後どうなる?
2024年度大学入学共通テストの志願状況が発表され、前年度より志願者が2万668人減少していることがわかりました(23年12月5日時点)。また、23年度入試において、私立大の合否判定に共通テストの成績を利用する「共通テスト利用方式」を実施した私立大は過去最多でしたが、こちらも5校減っています。共通テストの内容は変化しています。今後はどうなるのか、塾・予備校の専門家に分析してもらいました。 【写真】大学受験で必勝のお弁当とは? 料理研究家・渡辺あきこさんに聞く
2023年12月5日に大学入試センターが発表した「令和6年度大学入学共通テストの志願者数等について」によると、出願総数は49万1913人。前年同期より2万668人減少しました。現役志願率は45.2%で過去最高です。 また、24年度の大学入試で共通テストを利用する大学は、国公私を合わせて707校で、過去最多だった23年度に比べて4校減っています。このうち私立大は530校で、5校減っています。 とはいえ、500校を超える私立大が「共通テスト利用方式」を実施していることになります。私立大がこの方式を使う目的はどこにあるのでしょうか。 「共通テスト利用方式」とは、共通テストの成績で合否を判定する選抜方式です(個別試験を課す併用型の大学もあります)。共通テストを受けるだけで複数の私立大や学部・学科に出願できるため、私立大にとっては、国公立大に志願している受験生を取り込めるというメリットがあります。 一方の受験生も、共通テストを利用することで負担を軽くして複数の大学の併願が可能になります。特に国公立志願者にとっては、併願私立大それぞれの対策が不要なうえに、一度に複数の大学や学部・学科を受験できるというメリットもあり、利用する受験生が多くいます。
今後は「一般選抜組」「年内入試組」に二極化
しかし、23年度入試で共通テスト利用入試に出願した受験生は前年度比98%と、やや減少傾向です(河合塾調べ/23年5月23日時点、531大学判明分)。今後も受験人口が減少するうえに、私立大専願者の共通テスト離れが起き、共通テスト利用は減っていくだろうと専門家は見ています。 河合塾教育研究開発本部主席研究員の近藤治さんは、次のように分析します。 「大学入試センター試験の時代は、センター対策が私立大の一般入試の基礎対策を兼ねている面がありました。ところが、共通テストになって問題内容が大きく変わったことにより、私立大の一般選抜の対策とは別に、共通テストのために対策をしないと得点できなくなりました。私立大専願者にとっては、共通テストを受けるメリットがないと考える人が増えてきていると思われます」 しかも、大都市部には私立大専願者が少なくありません。 駿台予備学校入試情報室部長の石原賢一さんは、こう話します。 「共通テストの出題形式が変化したことに加え、22年度には共通テストの平均点が大幅にダウンしたことにより、大都市部では共通テストを敬遠し、私立大の一般方式や年内入試に流れる受験生が多いと考えられます」 私立大では、総合型選抜や学校推薦型選抜が広がりつつあります。受験生が高校3年の秋に出願し、11~12月に合否が決まるのが一般的なため「年内入試」と呼ばれていますが、今では入学定員の50%以上をこの「年内入試」にあてている私立大学も珍しくありません。 「ただし、難関私立大は年内入試の募集定員を増やしておらず、当面は一般選抜が中心です。今後は国公立大や難関私立大を目指して共通テストを含めた一般選抜を受ける層と、年内入試を受験する層に二極化が顕著に進むと予測しています。そう遠くない将来、共通テストは入試の中心から外れていくことも考えられます」(駿台の石原さん)