異色の元ロッテ、メッツ小宮山悟氏の早大次期監督就任はなぜ実現したのか?
小宮山氏は、日米で19年間プレー、精密なコントロールと頭脳的なピッチングでプロ通算117勝144敗の成績を残して1997年には、最優秀防御率タイトルも獲得している。だが、小宮山氏は、「プロでやった自負はある。人と違う経験をさせてもらってきたアドバンテージもあるが、プロの指導者とアマチュアの指導者は別もの。アマチュアは教育者でなければならないし、プロの技術で伸びればいいというものではない」という考え。2011年から4年間、早大のコーチを務め、「まだ指導者としての準備は不足しているが、今どきの学生と接する機会をいただき、なるほどなあと消化できる部分もあった」という。 「理想は、監督が何もせずに選手が育つこと。監督が何もしないで勝つチーム。選手が自分でどうすればいいのか、を常に思い、自らを高める意識をひとりひとりが持てば監督はすることがない。大勢いる部員に自分のレベルを上げるために何をすればいいのか、のヒントを与えることができればいい。勝ち負けは相手があることで、そこに一喜一憂することも大事だが、卒業するときに早稲田で本当に良かったと思い、社会に出て早稲田の凄さを感じれるような教育ができればと思う」 現役時代の晩年は「シェイク」と呼ばれる超遅球を操るなど、常識の枠にとらわれない発想を体現していくのが、小宮山流だった。徹夜で臨んだという次期監督就任会見でも、その個性溢れる“小宮山節”が随所に炸裂していたが、その理論的な野球は、今の世代にフィットするのかもしれない。間違いなく異色の監督になりそうな小宮山氏が、伝統ある早大野球部に何かを起こしてくれそうな予感がする。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)