「70代になってわかったこと」 杖をついた女性がパン屋での難しさを発信 投稿に「優しさ持ち寄りたい」の声
共感や気づきの声が続々
そんな凛さんが最近、「70代になってわかったこと」との書き出しで、街のパン屋さんで日々、感じていることをXに綴りました。 「70代になってわかったこと。街のパン屋さんでトングとトレーを持つのは、杖をついている自分にとっては事故のもと。店員さんの手が空いた頃を見計らって『杖なので手伝っていただいてもいいですか?』と尋ねる。お手伝いをしていただけるときは、パンのほかにサラダやポテトを買い求める。 嫌な顔をされたら『大丈夫です』と言い、袋に入った食パンだけを手にレジに並ぶ。パンを買うにも、老人は人の手を借りなくてはならないときがある。お店の人に嫌な顔をされないように空いている時間を調べ、店舗の外で中を見ながら立っている。いつか通路の広いパン屋さんができたら、遠くても杖をついてそこに買いに行きたい」 老いは誰にでも、平等にやってきます。そして、当たり前にできていたことが、いつの間にかできなくなる瞬間が必ず訪れます。凛さんは、無理をして今まで通りを押し通すのではなく、周囲の状況に合わせながら、自分のペースで買い物をしています。 投稿は2.4万件もの“いいね”を集めました。リプライ(返信)には、「私も雨の日や荷物が多い日はどうしても、パン屋に行きたくても億劫になっちゃうときがあります」「パンを買いたいけど、荷物が多いときはやめるときがあります」など、少し状況が変わるだけでも不便に感じることがあると共感の声が。 また、「街を歩くときには、注意深く不便になっている人はいないか確認していこうと思います」「嫌な顔をされるとつらいですよね……。自分がどんなときでも笑顔で応えられるように頑張ります!」「優しさ持ち寄りたいですね」など、助け合いや支え合いの大切さに改めて気がついた声も多く寄せられました。
「若い方はどう思うのかなと思って」投稿することに
凛さんが杖を使い始めてから、数年が経っています。実は、これまで「不自由だ」と感じることはあったものの、それほど大変なことだとは思っていなかったそうです。 しかし、投稿に至ったのは、日々買い物をしているうちに「若い方はどう思うのかなと思って。私よりも体が不自由な方、たとえば車椅子の方とか松葉杖の方とか、そういう方がどういうふうにパンを買っているのかな」と、ふと疑問に思ったためでした。その後、投稿の反響を受け、うれしかったという凛さん。 「若い方々が『声をかけてくれたら、取りますよ』『僕が一緒に行きます』と言ってくださったことが心に残っています。この言葉を見て、私に対してだけではなく、世の中のおじいちゃんやおばあちゃんを見て、トングを持ってオロオロしていたら『僕がやりますよ』『私が声をかけますよ』と言ってくださっているんだなと感じて、高齢者としてありがたかったです」 最後に、凛さんに老いとの向き合い方について、考えをお聞きしました。 「できないことが増えていくのは自然なことです。できていたことを忘れてしまうのも自然なことです。できなかったって思うのは一瞬で、翌日にはもしかしたらできるかもしれないと思ってチャレンジします。でも、やっぱりできなくなると『これはできたこともあったんだな』というふうに、自分が納得して次に行くという感じで今は思っています」 気づいていないだけで、身近には生活に困難を抱えている人がたくさんいます。みんなが安心して暮らしていくためにも、まずは日常の身近な場所に困っている人がいないか、意識していきたいですね。
Hint-Pot編集部