街頭演説妨害、車で追尾。「荒れる選挙」に警戒続く 相次ぐ社会福祉法人乗っ取り。法改正も、資金流出
新しい年が始まった。2024年に大きくメディアに取り上げられたものや地域での関心が特に高かったもののいくつかは、今年も話題が続きそうだ。昨年起きたさまざまなニュースの「その後」を追った。今回振り返るのは(1)政治団体つばさの党による選挙妨害(2)三重の社会福祉法人乗っ取り。(共同通信=(1)警視庁記者クラブ(2)高橋良太) 【写真】元法務大臣の河井克行氏が見た、刑務所の世界 刑務官からは「河井!」と呼び捨てにされ… 案里氏は毎日のようにせっせと手紙を 現在、妻との関係は
▽法廷で「正当な政治活動」と主張 他陣営の街頭演説に重ねるように拡声器で主張を訴え、選挙カーを追尾―。2024年4月の衆院東京15区補欠選挙で、政治団体「つばさの党」の運動は物議を醸した。 代表ら3人は、太鼓を打ち鳴らして演説を中断させたり、選挙カーの運行を妨げたりするなど他陣営への妨害行為を繰り返したとして、公選法違反容疑で逮捕された。同罪で公判が続いている。 7月の東京都知事選では掲示板に同一ポスターが多数張られる問題が起きるなど各地で「荒れる選挙」が相次ぐ中、国会では制度の在り方に関する議論が進む。 ▽戦前の判例まで調べ上げた 「正当な政治活動がなぜ犯罪になるのか」。補選から半年以上が過ぎた11月、つばさの党代表(46)は初公判で声を張り上げ、約15分間にわたり自説を展開した。 代表らは「落選運動」と称して他陣営の妨害活動を繰り返したとされる。警視庁は選挙期間中は警告にとどめ、投開票日の約2週間後に関係先を家宅捜索。その4日後に逮捕に踏み切った。代表らは表現の自由を念頭に活動を「候補者の権利」と主張しており、捜査関係者は「戦前の判例まで調べ上げ、選挙の自由の妨害に当たると判断した」と話す。
都知事選では、掲示枠を売買する「掲示板ビジネス」のような行為が物議を醸した。11月の兵庫県知事選では、「別の候補者を応援するため」と明言した上での出馬もあった。「公選法はあいまいでグレーゾーンが多い。互いを尊重する不文律や常識が通用しなくなっている」。与党関係者はため息をつく。 ▽近づく参院選。模倣に警戒感 法の間隙を縫う数々の選挙運動に、石破茂首相は今月の衆院代表質問で「これまで経験したことのない特異な状況が発生している」と述べ、選挙制度の在り方を議論するよう各党に呼びかけた。ただ、演説妨害などの厳罰化は、自由な活動を制約しかねないとして慎重論が根強い。 つばさの党は妨害の様子を動画で配信しており、広告収入を得ることが狙いの一つだったとみられる。2025年には参院選が予定されており、模倣する陣営が出る可能性も。捜査幹部は「選挙は民主主義の根幹。権利を逸脱した行為は厳正に対処していく」と語った。 × × ×