ヤクルトD1位・中村優斗がエコ入寮 材料費500円ほどの手作りストレッチパイプを持参
ヤクルトのドラフト1位・中村優斗投手(21)=愛知工大=が6日、埼玉・戸田市内の選手寮に入った。今春の沖縄・浦添キャンプの1軍スタートが内定している最速160キロ右腕は、新生活の相棒としてホームセンターで購入したという塩ビパイプを持参。体をほぐすために使用する、材料費500円ほどで自作した〝秘密道具〟を持ち込み、体調管理への意識の高さをうかがわせた。 剛腕の両手に握られた筒状の物体に、自然と視線が集まった。ドラフト1位の中村が、紺色のスーツ姿で入寮。到着した瞬間にプロ生活の門出を祝うかのように、戸田の空に大きな虹がかかる中、希望に満ちた表情で選手寮の扉を開けた。 「ようやく始まったなという気持ち。プロの舞台への第一歩を踏み出すことができて、本当にうれしい」 入寮にあたり、持参したのは野球選手と関連するとは思えないものだった。「ホームセンターに売っている、塩ビパイプです」。塩ビパイプとは、プラスチックの一つであるポリ塩化ビニール製の筒状の管のことで、水道管や排水管などに使われる。中村が持っていたのは、長さが40センチほどで直径は約10センチ。愛知工大2年時にホームセンターで購入したという。 「ストレッチでずっと使ってきました。硬いので筋肉の奥までよくほぐれる。自分の中で一番の思い出というか、相棒。もうボロボロなんですけどね」。当初は市販されているストレッチ専用のポールを使っていたが、「軟らかくてあまり効果を感じられなかった」と友人の勧めもあり、塩ビパイプが相棒になった。 大学時代は毎日、風呂上がりと練習前に1時間ずつの計2時間、相棒を使ってストレッチ。「自分自身のコンディションを整えながら(球の)スピードアップをしてきた。毎日やることで自分の状態もわかる。必須アイテムです」。長崎・諫早農高では無名の存在。大学入学時から15キロアップの最速160キロまで進化した背景には〝秘密道具〟が欠かせなかった。入念な体調管理はこれまで大きな故障がない要因でもあるだろう。 パイプには白のビニールテープがクロス状に巻かれており、「地肌でやるときにテープを巻いたら体に密着するので、より深部までほぐせる」という工夫も施されている。材料費はわずか「500円くらいかな」。諫早農高では農業土木科に所属。国家資格の測量士補や、危険物取扱者試験乙種1-6類などに合格し、12個の資格がある。手に職を持つ〝アイデアマン〟らしい発想を、競技にもつなげている。