ニトリの「Nウォーム」はなぜ売り上げ300億円達成したのか?多くの寝具があるなか選ばれるワケ
厳しい寒さが続くこの時季、快適な睡眠を求めて寝具にこだわる人も多いのではないだろうか。なかでも話題となっているのが、「お、ねだん以上。」でおなじみのニトリから発売されている「Nウォーム寝具」シリーズだ。 「Nウォームダブルスーパー」。シリーズのなかで最も暖かい商品だ 同シリーズは、直近2年間で300億円もの売り上げを達成し、老若男女問わず根強い人気を誇っている。それにしても、布団や敷パッド、枕、毛布などさまざまな選択肢があるなかで、なぜこれほど支持されているのか? 今回は、株式会社ニトリホールディングス広報部の大阪捺々さんに、「Nウォーム寝具」の誕生の経緯と大ヒットの理由などについて話を聞いた。 ■「吸湿発熱」の原理を活用し、低価格で暖かい布団を開発 Nウォーム寝具が登場したのは2011年のこと。当時、暖かい布団といえば羽毛布団が一般的だったが、価格が高く、羽毛特有のにおいを嫌う人も多かった。そこで、体から発散される水分を熱に変える吸湿発熱の原理を利用した、低価格で暖かい布団として「Nウォーム掛け布団」が開発された。 「『Nウォーム掛布団』はおおむね好評でしたが、一部のお客さまから『毛布と布団を一緒に使うとずれるので、1枚で暖かいものがあればいいのに』との声がありました。それをきっかけに“1枚でより暖かく”をテーマにして、『Nウォームスーパー』や『Nウォームダブルスーパー』など現在の人気シリーズを開発してきました」 なお、開発時には原材料工場のスタッフと直接やり取りを行い、糸などの素材から商品設計を開始するのだとか。そして試作品を作成し、トライアンドエラーを繰り返しながら、毎年改良を重ねた商品を提供することを目指しているそうだ。 「シリーズ発売から14年が経過した現在も、お客さまのレビューや店舗からのフィードバックを欠かさずチェックしています。さらに担当者が自ら商品を試用し、社内でテストを繰り返し行い、討論を通じて改善点を模索し続けています」 ■当初は改善に奔走...。生地から見直し、売り上げ300億円を達成 そんな「Nウォーム寝具」は、過去2年間で300億円という驚異的な売り上げを達成した。これには前述の創意工夫が大きく寄与しているが、今の人気を得るまでには多くの試行錯誤があったようだ。 「まず生地の性能を向上させるため、糸の開発に取り組むことにしたのです。次に毛羽の加工方法を改良し、蓄熱機能で暖かさが持続するように設計。さらに他業種の原材料や生産方法を採用し、わたの保温性を高める工夫と蒸れ防止の対策を施しました」 その結果、発売された商品のレビューには「この冬はこの毛布一枚で十分!」「さらに暖かい」といった声が多数寄せられた。大阪さんは「担当者によると、お子さんが売り場で『これ本当に気持ちいい』と頬ずりし、ご両親に購入をお願いしている姿を見て大変感動したそうです」と話す。これらを踏まえ、売り上げ300億円を達成した理由を聞いてみた。 「『Nウォーム掛布団』は、もともと吸湿発熱綿を用いた製品としてスタートしました。これを系にして毛布や掛け布団カバー、ラグなどの製品に拡大できたことで販売数量の多い品目にまで成長し、多くのお客さまにご愛用いただいているのだと思います。また、暖かさだけでなく、開発担当者たちが本当に求められる機能や素材、肌触りにこだわり続けた結果、現在の人気につながっていると考えています」 続けて「広告展開も大ヒットの要因の一つです」と大阪さんは話す。2024年春に「オーガニックコットンBOXパッド」の初テレビCMを放映した際には、大きな反響を呼んだという。同年冬には「Nウォームが進化しました」と題した「NウォームBOXパッド」のテレビCMを放映したところ、春と同様に爆発的なヒットを記録したようだ。 ■寒暖差にも対応可能!原材料高騰も品質を落とさず提供したい 2024年のNウォーム寝具は「冬は寝具が冷たいのが嫌だ」「冷え性で困っている」といった悩みに応え、「より早く」「より暖かく」なるように改良されているのだそう。そのほか、2024年の注目ポイントについて聞いてみた。 「『Nウォーム寝具』は、吸湿発熱機能による暖かさだけでなく、肌触りや品質にも徹底してこだわっています。寝る前が寒くても、布団内の温度が上がると寝苦しく感じることがありますが、その原因の一つは蒸れです。2024年のNウォーム寝具(敷パッド、BOXパッド、毛布、ピローパッド)は、通常のポリエステルわたと比較して約15倍の吸放湿性を持つ『東洋紡の吸放湿わた』を採用し、布団内の温度と湿度を快適にする工夫を凝らしています」 最近の急激な寒暖差は、睡眠の質を下げ、心身に悪影響をもたらす要因となっている。このような社会問題が浮き彫りになるなか、ニトリの「Nウォーム寝具」がユーザーにもたらす価値とは一体? 「熱伝導率の高い『グラフェン』という素材を毛羽に練り込むことで、遠赤外線効果による保温性を向上させています。これは『Nウォームスーパー』や『Nウォームダブルスーパー』に取り入れていて、暖かさをさらに追求しています。これにより、寒暖差が厳しいときでも快眠が得られるようになったと思います」 一方で、円安や原材料の価格上昇など厳しい状況に直面しているが、大阪さんは「私たちは品質を落とさず、お客さまに『ニトリで買ってよかった』『次もニトリで買い物しよう』と思っていただけるよう努めています」と意気込む。加えて、手ごろな価格で暖かく快適な寝具を提供し、「Nウォーム寝具」をまだ使ったことのない人にも手にとってほしいとのことだ。 寒さが続き、寒暖差も激しい今日。手ごろな価格で購入できる「Nウォーム寝具」を利用して、日々のQOLを向上させてみてはいかがだろうか。 取材・文=西脇章太(にげば企画) ※季節商品につき、完売の可能性があります ※Nウォームの機能は毎年変わります。「東洋紡吸放湿わた」「グラフェン」は2024年度商品に搭載された機能です