安全安心を最優先 大野知事・新春インタビュー 2024年「県に追い風が吹いた、良い年」 埼玉は海以外全てがある日本の縮図 「追い風の勢いが増すように」 県庁舎の位置については3月末をめどに一定の方向性
■防災・減災対策に重点 ―昨年の自然災害を踏まえ防災・減災対策は。 「二つの歴史的課題の一つが激甚化・頻発化する自然災害などへの危機対応。仮に首都直下地震や、あるいは大雨で水害が起きる場合は多大な被害が生じると考えられ、能登半島で起きた複合災害も人ごとではない。大規模災害発生時に空調設備のない体育館で長期避難所生活を余儀なくされる場合には、熱中症など二次災害も想定される。当初は26年度以降に防災拠点校22校のうち10校について対応する予定だったが、設置を前倒しして25年度末までに空調設備の設置を完了できるよう、補正予算を計上した。それだけではなく、流域治水対策の推進や災害時の迅速な避難、救急物資の輸送を整える幹線道路網強化などの対策も重点的に行っており、昨年10月23日には関東地方知事会で、国土強靱化(きょうじんか)推進のための予算の安定的確保について、県が取りまとめて国に要望した。県5か年計画では安心、安全の追求を将来像の一つとして掲げ、25年度はこの5か年計画の4年目に当たる。掲げた取り組みをさらに進化をさせ、激甚化・頻発化する自然災害などを防いで、財産を脅かすリスクに対応し、県民の安心・安全な生活を確保したい」
■新年の抱負 ―新しい年に向けて抱負を。 「先ほど、申し上げた二つの歴史的な課題のうちのもう一つが、人口減少、超少子高齢社会の到来。県が持続可能な発展を続けるためには、私たちがしっかり対峙(たいじ)していかなければならない。人口が減少する一方、後期高齢者は日本でもトップスピードで増えていく。高齢者が増えて人口が減るということは、高齢者を支える働く層が減るということでもある。また、これに対して子供たちを増やした方がいいという議論もあるが、0歳から18歳までは労働生産人口ではなく支えられる方。働く世代はますます負担が重くなる。にもかかわらず経済を発展させる、高齢者・子どもたちを支えるためには、減少していく労働生産人口の労働生産性を向上させることが不可欠。われわれはまず価格転嫁を一生懸命進め、デジタル化、DX推進、ロボティクス、こういったさまざまな労働生産性を向上させる取り組みに強く力を注いできた。もう一つ重要なことは受給のバランスが逆転していること。これまで政治は、予算をさまざまな形で投入することによって需要を上げる、これに供給があったので追い付いて全体の経済が上がってきたが、今は需要を増やしても、コストが高いとか、働き手がいない。経済を持続的に発展させる政治に求められる役割が、この100年ぐらいで初めて変わる。今年は幅広い人脈を活用させ、そのマッチングを行う渋沢MIX、サーキュラーエコノミー(循環経済)などの新しい分野で労働生産性を上げ、埼玉版スーパー・シティプロジェクトも加速させる。また、安心できないと子育てはできない。将来的には人口を増やし、子どもまんなか社会をつくり上げていきたい」
【関連記事】
- 埼玉県庁の本庁舎「移転がよい」の声最多、「現在地で建て替えがよい」の声を上回る アンケ結果を公表
- 800床の大学病院開院を「断念」 順天堂大学長が埼玉県知事に計画中止報告 建設費高騰など理由に 大野知事「県民の期待大きく、遺憾」 県とさいたま市誘致 延期繰り返し総事業費2千億円超に
- チキンレースだった…順大新病院計画中止の内幕 「やめたいけれど、どちらが切り出すか…」 公募から10年、医師確保に疑心暗鬼 800床の大病院霧消、地元の期待むなしく さいたま市
- 埼玉県庁の位置、今年度中に目途 移転のメリット、デメリット検討 老朽化、再整備で知事 県民アンケートへ
- ハライチ・岩井さん“県民対決”番組は「言うことなくて大変」…出身の埼玉が「熊谷、秩父は群馬で、県南部は東京のはずれ」