「自分の機嫌は自分で取る」鈴木明子が摂食障害を経て学んだ“無理しない生き方” #今つらいあなたへ
「ご機嫌取りを他人にさせない」セルフケアの重要性
――過去の鈴木さんのように、さまざまな悩みや困難を抱えている方も少なくありません。 鈴木明子: 一人ひとりの顔が違うように、できることや得意なことは違って当たり前。生きていることにすごく価値があって、尊くて、優劣をつける必要なんてないことを伝えたいですね。すごい人を見て比べてしまったり、「自分なんてまだまだ」と思って頑張りすぎてしまったりすることもあると思うんですけど、自分で自分を認めてあげることはすごく大切だと思います。 私自身、自分の弱さを認められるようになったら、いろいろな人を受け入れることができるようになりました。それまでは、自分が完璧を求めるが故に、人に対して少しイライラしてしまうようなことがあったんですね。しかし、弱さを認められるようになり、自分とは異なる考えを受け入れることや、考えの違いを理解することができるようになったと思います。 ――ありのままの自分でいるために、心がけていることはあるのでしょうか? 鈴木明子: 自分で自分の機嫌を取ることをすごく意識していますね。要は、ご機嫌取りを他人にさせないということ。不機嫌な人を見ると、ちょっとしんどくなるじゃないですか。私は、やっぱり周りの人たちに光を与えられたらいいなと思うので、自分で機嫌を取って、無理をしないようにしています。例えば、人から誘いを受けたとき、今は一人の時間が必要だなと思ったら行かないと判断するとか。今日は外に出られるな、今日は家にいたほうがいいなっていうのを、もっと自分本位で考えていいんだと思えるようになりました。 ただ、どうしてもイライラしてしまうようなこともあると思います。それを態度に出してしまうと、自己嫌悪に陥ってしまい、悪循環になるので、あえて人に会わないようにするなど対策をしていますね。ストレスを発散するために、自分には何が必要なのか。一人でおいしいものを食べに行くとか、ドライブに行くとか、自分なりのストレス対処リストを用意しておくのも良いかもしれませんね。 頑張りすぎてしまうと、気づいたときには体に支障が出ているなんてこともあると思うので、日頃から自分の状態を繊細にキャッチすることを心がけると良いと思います。 ----- 鈴木明子 1985年、愛知県生まれ。プロフィギュアスケーター。6歳からスケートを始め、15歳で全日本選手権4位に。大学進学後、摂食障害を発症し、1年ほど競技から離れる。復帰後、2009年にグランプリファイナルで3位、全日本選手権で2位になり、バンクーバー五輪代表に。その後、ソチ五輪でも8位入賞を果たす。2014年の世界選手権出場を最後に競技生活から引退。現在は、プロフィギュアスケーターとして活動するほか、解説者としても活躍する。 文:優花子 (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)