9人に1人がなる乳がん「まさか自分が」篠崎愛のマネージャーの気づき
抗がん剤投与が始まった
いよいよ抗がん剤投与が始まった。2種類をそれぞれ3週ごと4回ずつの計8回の長丁場だ。篠崎愛や友人が治療生活に入るための買い物を手伝ってくれた。日用品、食料などを調達できる大型店で、ペットボトルの水や栄養ドリンク、トイレットペーパーなどを品定めしていたら、篠崎が「これもあったほうがいい!」とカートに入れたのが紙皿、紙コップ、割りばし。食事をするにも食器を洗う気力などないだろうと予想した。 それらは非常に助けになった。投与して8時間後から吐き気が始まり長く続く。そして体に待機しているかのような倦怠感、 トイレから腰をあげられないほどの下痢。抗がん剤投与数日間は食べ物を口にすると、鉛のような味がした。頭髪はなくなり、足の指の爪が剥がれた。五間岩曰く「小人が100人槍を持って背中を襲撃してくるような痛み」に襲われたりして眠れない夜もあった。 片岡が「結構つらい」と表現したように副作用は想像を絶するものが襲ってきた。後から、副作用がつらくて途中でやめる人もいると聞き、 納得すると同時に自分はやり抜いたんだという達成感を得た。 片岡から、投与がすべて終わった後手術について検討するよう言われた。全摘(乳房全切除術)か、部分切除にするか。 五間岩は一瞬考えた。 (文中敬称略) ◇後編「乳房全摘のあと…乳がんになった篠崎愛マネージャーが涙したプロバスケ選手からの「言葉」」では、抗がん剤を進めていく治療を支えたものをお伝えする。
島沢 優子(ジャーナリスト)