資産運用において“AIの暴走”はあり得ないのか? 新NISA開始で“投資初心者”の立ち回りをプロに聞く
非課税で運用できる期間を無期限にした新NISAがスタートし、「投資」「資産運用」に関する興味関心がさらに高まっている。そんななか注目を集めているのが、投資先の選定から実際の運用までを自動化した資産運用サービス「ロボアドバイザー(以下・ロボアド)」だ。証券会社やフィンテック企業から、さまざまなロボアドが登場しているが、一方で「機械にまかせて大丈夫なのか」「AIの暴走リスクは?」といった不安を抱く投資初心者も少なくない。実際、対人での取引と「ロボアド」での取引では何が違うのか。業界最大手の『ウェルスナビ』にメリット、デメリットを聞いた。 【画像】資産がぐいぐい上がっていく! なぜ!? CEO柴山さんの運用実績を公開
■「ロボアド=最新AI活用」のイメージは間違い 全自動ながら中身は良い意味で“王道”
終身雇用の崩壊、年金受給への不安などが起因となり、定年後のセカンドライフに向けた取り組みは“自己責任”という認識が浸透した昨今。投資による資産運用の考え方が急速に広がりを見せる中で、存在感を発揮している「ロボアド」だが、実は「ロボアドに対する不安には、誤解に基づくものもある」とウェルスナビ執行役員の牛山史朗さんは指摘する。 「ロボアドはオンライン上で自動化された資産運用サービスで、“AI投資”とも呼ばれるように一般的に“AIを活用したもの”と認識されていますが、実は『ロボアド=最新AI活用』ではありません」 第3次AIブームと言われて久しい昨今のAIは自ら知識を獲得する「機械学習」、AIが自動的にデータの特徴を抽出する「ディープラーニング」の実用化によって急激に進化している。例えば言語の翻訳などパターンが決まっているもの、過去データの学習で正解が導き出せるものに対しては非常に強い。ところが、これらの最新型AIはまだまだ研究開発段階で、“暴走”“誤作動”の可能性も少なくない。 「そもそも相場は、過去のパターンに当てはまらないものなので、どんなに優れたプロの投資家であっても相場の動きを正確に予測することは不可能です。そこで例えば弊社ではノーベル賞受賞者の理論に基づいたアルゴリズムを使い、リスクに対して期待リターンが最も高くなるポートフォリオを計算し、個人にあった最適なプランを提供しています。この運用自体は、世界の機関投資家や富裕層の資産運用でもよく用いられる、王道とも言える手法です」