資産運用において“AIの暴走”はあり得ないのか? 新NISA開始で“投資初心者”の立ち回りをプロに聞く
■ロボアドは「長期・積立・分散」投資が基本 長期目線でじっくり資産を育てる
「投資のやり方にも様々あり、安いうちに買って値上がりしたら売って利益を得るということを短期間で積み重ねることで利益を得るというイメージを持たれている方もいらっしゃいますが、我々のロボアドがベースにしているのは「長期・積立・分散」と呼ばれる形。世界中で分散投資を行い、長期目線でじっくり資産を育てていく運用になります。ロボアドを始めるにあたって“金融知識がなくて不安”と言った声もよく耳にしますが、そもそもロボアドは投資の専門知識を持っていることを“前提としない”サービスで、投資初心者にもおすすめです」 ロボアドが生まれた背景にはコスト面や利便性を重視したことにある。対人の資産運用サービスでは、証券会社に出向いたり、電話をしたり、ある程度の労力を割く必要があった。だがロボアドであれば、移動中や休憩中といったスキマ時間で資産運用ができる。さらには人件費コスト、店舗コストなども抑えられるため、ユーザーが支払う手数料も低く抑えられる。テクノロジーの発達により、時間、コストの両面が削減された形だ。
■投資初心者には円安・物価高騰で目減りする貯蓄よりもロボアド利用が有益か
ロボアドのメリットはコンピュータ故に“感情がない”ことと牛山さん。例えばリーマンショックやコロナ禍では株価が相当不安定な動きをした。人間の脳は資産運用に向いていないので、資産が急激に値下がりしてしまうと“焦って”しまう。投資に慣れた人でも冷静な判断ができず、売りたくなってしまう。だが自分の主観や感情が入り込まないロボアドであれば、どんな局面でも淡々と資産運用を続けることができる。その方が、資産運用が上手くいく可能性は高い。 さらに、投資の情報商材詐欺や陰謀論とも無縁だ。ことNISAに関しては「政府が推進しているということは何かあるのでないか」「日本に眠る2000兆円とも言われる貯蓄を資産運用に回して海外の投資家に差し出す行為ではないか」などの声もある。だが逆を言えば、現在日経平均株価は上がっているが、その大半は海外の投資家が持っており、その利益が海外に流れているというのが現状。その高い株価の恩恵をきちんと日本が受けられるような仕組みを作らなければ、海外投資家に日本の利益が吸い取られる一方という悪循環を変えることはできない。そこで知識が少なくともコンピュータに任せられるロボアドが注目されているというわけだ。 「とはいえ、ロボアドがやっているからと言って、あくまで投資なので、必ずしも利益が保証されているのではありません。また、ゲーム感覚で投資を行いたい方には向かないサービスとも言えます」 ロボアドは預かり資産に対して手数料を受け取るビジネスモデルのため、ユーザーの資産拡大が会社の成長につながる。そのため、必要な機能をスピーディーにリリースするなど、サービス改善の努力を怠っていない。事実ウェルスナビは日本で初めてロボアドの中でNISAに対応した。ユーザーの声を聞くために月に何度もセミナーも行っている。 「投資」なので当然リスクはあるが、現状では貯蓄も円安、物価高騰で目減りしてしまう一方。ならばこれを機会にロボアドを利用し、資産運用を始めるのも一つの手ではあるだろう。 (取材・文/衣輪晋一)