明日開幕の高校サッカー 注目の逸材4人
新春の風物詩のひとつ、全国高校サッカー選手権が30日から首都圏を舞台に開催される。5年後に迫った東京五輪の主役を担う、1997年1月1日以降に生まれた未来の日の丸候補生たちが集うヒノキ舞台。1月11日の決勝戦(埼玉スタジアム)を目指し、熱き戦いに挑む4人の有望株をピックアップする。 ■星キョーワァン [DF/栃木・矢板中央高3年/184cm、77kg] サッカーを始めたのは、中学生になってから友人に誘われたのがきっかけだった。それまでは1ヶ月ほど陸上を、あとはカードゲームに夢中なごく普通の小学生だった。 まさに荒削りの星がCBの基本を本格的に学んだのは、地元の強豪校・矢板中央に入学してから。それでも空中戦における無類の強さ、スピード、長いリーチを含めた身体能力の高さを存分に生かし、星キョーワァンは大会屈指の存在に成長した。 コンゴ人の父と日本人の母との間に東京都内で生まれ、栃木県で育った。キョーワァンは父の母国で「賢い」を表す言葉だ。 「顔はサニブラウンに似ていると言われますけど、いまはオコエといじられています」 屈託なく笑う18歳は、2015年のスポーツ界に大旋風を巻き起こした2人に続けとばかりに、「自分も結果を残して、ハーフブームに乗りたい」と2回戦で敗退した前回大会の雪辱を期している。 鹿島アントラーズなどJクラブの練習に参加して、「ヘディングではある程度戦えた」とさらに自信を深めた。自慢の空中戦に挑むときには、「うおぁぁぁ!」と星の低く、太い大声が常に会場に響く。 アントラーズと日本代表で最終ラインを支え続けた秋田豊が、空中戦で競り合うときに「どうだっ!」と叫びながら、心身両面で相手を圧倒していた光景を思い出さずにはいられない。 鉄人と呼ばれたレジェンドに通じるメンタルの強さを見込まれ、キャプテンとして臨む最後の冬。中学時代からの盟友で、同じくコンゴを父方のルーツにもつ187cmの長身ストライカー、森本ヒマンと攻守の柱が躍動すれば、ベスト4に進出した2009年度を超える旋風を巻き起こしそうだ。