瀬戸内に浮かぶ広島レモンの島を元気にする ポッカサッポロ社員自ら耕作放棄地を再生 地域活性化とレモン総需要拡大が目的
同社は現在、大崎上島に自社園地を2か所、契約園地を1か所保有している。レモンの木は計300本以上、園地面積は合計で約1haとなる。 契約園地も、元来、耕作放棄地だったところをポッカサッポロが整備し、16年からレモンの研究園地として活用してきた圃場となる。 レモンと他の柑橘をかけあわせる品種改良など研究園地としての役目はすでに終えており、今年から契約園地となった。 自社園地のひとつは、ポッカサッポロのメイン圃場で、PR活動や食育イベントの実施、栽培モデルの検証などに活用されている。 広島県が行っている集積園地も近いことから、地元のレモン農家とのコミュニケーションの場にもなっている。 もうひとつの自社園地は、後継者不在の園地を引き受け、生産地の維持の役目を担っている。
産地支援の目的について、マーケティング本部産地形成グループの土屋淳一グループリーダーは「1957年からレモン事業を始めている会社として、いわゆる川上である生産地に目を向けず、ただ商品を作るだけでいいのかという課題がずっとあった。レモンをビジネスの中心に据えようとなったとき、やはり生産地に対する取り組みが脆弱であると改めて課題を認識し、大崎上島でのプロジェクトが始まった」と説明する。 社員自らが大崎上島に向かい、レモン園地で栽培や収穫を手掛け、現地の生産者とのコミュニケーションにも重きを置いている。 土屋氏は「我々自身がちゃんと一次産業に踏み込んで、その課題を知ったうえで商品や地域の価値を高めたい。表面的な部分のみをお客様にPRするのはメーカーの独りよがり。本当に地域に根差した、地域社会に寄り添って連携する活動を行っていきたい」と意欲をのぞかせる。 昨年には広島東洋カープの遠藤淳志選手を招いて収穫体験イベントを実施するなど、大崎上島町のレモンの知名度アップにも貢献している。 「観光地として有名な島ではないが、ポッカサッポロさまがPRしてくださることで、町の知名度が上がっている。レモン農家になるという夢をもって、島に移住してくる方も増えている」と感謝の意を表するのは、大崎上島町の地域経営課の坂田課長。