海外ではこんな制度はありえない…「主婦年金」の廃止見送りで"3号主婦"本人を待ち受ける残酷な未来
■介護のために働けない“3号主婦”は増えていく 高齢者が増加する中、介護サービスは需要に追い付いていません。 2025年問題(団塊の世代800万人全員が75歳以上となり超高齢社会が訪れる)があり、病院通院、入院者、認知症患者、老人ホーム利用者の増加により介護ヘルパーや医療関係者、施設の不足から介護サービスの低下も懸念されています。介護料金は上がっているのに介護施設は不足しており、介護ヘルパーも不足しています。介護のため働けない第3号被保険者は今後増えていくかもしれません。 そういったことを配慮して、第3号被保険者制度の廃止を延期したのかもしれませんが、就労調整を長期間にわたって続けることは女性たちのキャリアにとって大きな痛手となります。 ■夫の所得制限を設けたうえで働けない人には救済措置を 平等性のためには、夫の所得制限を設けるなどが必要でしょう。同時に介護で働けない主婦に対しては、介護ヘルパーなどの無料チケット配布や施設入所の優先順位を上げるなど別の形でさらなる配慮が必要です。 政府は女性活躍を推進してきているわけですから、税制も社会保障制度も、キャリアを積むこと、働くことにインセンティブを感じられる方向に改革していく必要があります。そのうえでどうしても働けない人、急には(あるいは今更)スキルアップや就職が難しい人には救済措置を考える。これが基本路線ではないでしょうか。 ---------- 柏木 理佳(かしわぎ・りか) 生活経済ジャーナリスト、FP(ファイナンシャルプランナー) 1968年、神奈川県生まれ。NPO法人マネー・キャリアカウンセラー協会代表にて、年金、保険、資産運用をアドバイス。豪州ボンド大学大学院にて経営学修士(MBA)を取得後、育児中に桜美林大学大学院で博士号取得。国土交通省有識者会議メンバー。豪州留学後、米国企業勤務、香港にて英国企業(現中国系)勤務、中国留学を経て、シンガポールにて会社設立に携わる。嘉悦大学、城西国際大学大学院などで准教授(経営戦略、マーケティング、人的資源、キャリア)を経て、現在は立教大学経済学部特任教授。 ----------
生活経済ジャーナリスト、FP(ファイナンシャルプランナー) 柏木 理佳