近年増えている「逆流性食道炎」 原因と治療法を消化器内科専門医が解説
生活習慣の変化によって近年増加傾向にある「逆流性食道炎」ですが、時に食道腺がんの発症に関わることもあるといいます。普段どのようなことに気をつけたらよいか、予防や治療法について、消化器内科専門医の石岡先生に解説してもらいました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
逆流性食道炎の患者さんは増えている
編集部: まずは逆流性食道炎について教えてください。 石岡先生: 逆流性食道炎は、胃酸を含む胃の内容物が食道へ逆流することによって、胸焼けや呑酸症状(酸っぱいものや苦いものが込み上げてくるような症状)などを引き起こす疾患で、患者数は増加の一途を辿っています。「逆流性食道炎」という言葉を一度は聞いたことがある、という人も以前と比べてとても増えたように感じています。 編集部: なぜ逆流性食道炎の患者数は増えているのですか? 石岡先生: ピロリ菌感染率の低下などによって、日本人の胃酸分泌能力は増加傾向にあります。また、高脂肪食や過食などの食生活の変化や肥満者の増加などにより、胃酸の逆流が増加しています。以前は腰の曲がった高齢者に多い疾患でしたが、現在は長時間のデスクワークによる姿勢の悪化や睡眠不足、ストレスの増加に伴い、若い方でも症状を訴える方が増えています。 編集部: 逆流性食道炎を放っておくと、どうなりますか? 石岡先生: 食道の粘膜が長期間にわたって胃酸にさらされると、食道の粘膜が変化を起こし「バレット食道」と呼ばれる状態になります。バレット食道は食道腺がんの発生母地となることが知られていて、注意が必要です。「食道腺がん」は欧米諸国では多いものの、長年日本においては、食道がんですと飲酒や喫煙に伴う「食道扁平上皮がん」が圧倒的に多かったのです。従来「食道腺がん」は稀とされていましたが、近年増加傾向にあることが指摘されています。日本における食道がんの傾向も欧米化してきていると言えますね。