カワサキ500SSマッハⅢは“ジャジャ馬”だからイイ!? 極上の1台に乗った!!! かつての世界最速マシンの価格は驚きの……
1970年~1980年代に発売された国産旧車が、“絶版旧車”と呼ばれ人気だ。当時憧れていた世代はもちろんのこと、今どきのヤングライダーたちも“カッコいい!”と、注目する絶版旧車の魅力を、バイク好きの俳優・大野拓朗と元バイク雑誌編集長・カワニシが語り合う。今回は“ジャジャ馬”と呼ばれるキャラクターで人気を誇ったカワサキ「マッハⅢ」に試乗! 【写真を見る】今や300万円台!!! 極上のカワサキ500SSマッハⅢの細部(17枚)
まっすぐ走らない? 止まらない?
河西啓介(以下、カワニシ):マッハゴーゴー♪ マッハゴーゴー♪ 大野拓朗(以下、大野):その歌知っています!僕が小さい頃にも第2作をやっていました。好きでよく観ていたのですが、幼少期のことなので内容はあまり覚えていません。 カワニシ:1967(昭和42)年に放映されたテレビアニメ『マッハGo Go Go』の主題歌。主人公のレーサー、三船剛がマッハ号で世界のレースに参戦し成長していくストーリーで、アメリカでは『Speed Racer』というタイトルで放映されて人気を博したんですよ。 大野:あと、確か実写映画化もされていましたよね(2008年にアメリカで製作され公開)。 カワニシ:確かそうでしたね。アメリカ人はレースやスピードが大好きですよね。音速を表す“マッハ”は、1960~1970年代の頃は凄いスピードの代名詞としてよく使われていたんです。「マッハの速さだ!」なんて言っていたし、女子プロレスラーのマッハ文朱(ふみあけ)もいたな。 大野:あはは、今は“マッハ”ってあまり使わないですよね。 カワニシ:今日、試乗するのはその“マッハ”なんです。1960年代後半、アメリカ市場で販売拡大を目論んでいたカワサキが「廉価で速いバイクを」という市場からの要望を受けて、 1969年、軽くてハイパワーな2ストローク500cc、3気筒エンジンを積んだマッハIII(スリー)を登場させた。最高速度200km/h、ゼロヨン12秒台という、当時のバイクとしてはとんでもないスピードを誇っていました。 大野:前回は1972年デビューのカワサキ「Z1」に試乗しましたが、その少し前の世代のモデルですね。 カワニシ:そう、Z1もアメリカ市場での成功を目指してつくられたスポーツバイクだけど、4ストロークのDOHCエンジンを積み、バイクとして完成度は高かった。それに対してマッハは少々乱暴というか、速いけど「まっすぐ走らない」、「すぐウイリーする」、「止まらない」などと言われて、それがいつしかジャジャ馬伝説として語り継がれるようになったんです。 大野:まっすぐ走らない! 止まらない!……。旧車経験の少ない僕が乗っても大丈夫でしょうか……。 カワニシ:構造的にフロントの荷重が少なめだったり、ドラムブレーキの制動力が物足りなかったり、完成度の低いところはあるけど、ちゃんと整備されたマシンなら、危ないってことはないでしょう。ではさっそく乗ってみましょう。