カワサキ500SSマッハⅢは“ジャジャ馬”だからイイ!? 極上の1台に乗った!!! かつての世界最速マシンの価格は驚きの……
2ストロークエンジンの爆発的加速
大野:実際に見てみると、すごくコンパクトですね。それに跨ってみると軽い! ジャジャ馬というイメージだったのでもっとゴツいバイクを想像していたんですけど、ちょっと安心しました。 カワニシ:2ストロークエンジンは構造がシンプルなので車体を軽くコンパクトにできるんです。小さな排気量から大きなパワーを出せるのも2ストのメリット。それゆえ二輪のレーシングマシンは1990年代まで2ストロークが主流でしたね。 大野:おお、キックペダルを踏んだら軽くエンジンがかった! でもバリバリバリバリ……ってすごい音がするんだけど、壊れていませんよね? マフラーからは白い煙がモクモク出ているし……。 カワニシ:この甲高いサウンドと白煙は2ストロークエンジンの特徴です。それにしてもマッハのスモークはすごいですけどね。 大野:あれ? ギヤが1速に入らない。ペダルを踏み込むとニュートラルになっちゃます……(汗) カワニシ:マッハ3は「ボトムニュートラル」といって、ギヤペダルを一番下まで踏み込むとニュートラル、そこからひとつかき上げてロー(1速)に入るんです。ふつうのバイクは一番下がローだから、わからなくて戸惑う人も多いですね。 大野:そうなんですね。でもボトムニュートラルって、慣れるとラクかも。バイクってギアをニュートラルに入れるのにコツが必要だから、むしろ一番下まで踏み込んでニュートラルって、わかりやすい。 カワニシ:1960年代ぐらいまではギアも右足チェンジとかメーカーによっていろんな方式があったのですが、徐々にギヤは左足側で、ニュートラルは1速と2速の間に配されるというパターンが定着したんです。 大野:あれ? アクセルを開けてもなかなかスピードが出ないな。思ったより大人しくて、加速がモワーっとしている感じ。 カワニシ:それはエンジン回転が“パワーバンド”に入っていないから。2ストロークエンジンは二次曲線的な加速が特徴で、低回転域ではトルクも細くてパワーも出ないんです。でもある回転に達するとヴィーン!とエンジン音が甲高く変わって爆発的に加速するんです。クルマでいうと昔のターボ車みたいな感じ。拓朗くんはその手前の回転域で走っていたんですね。