カワサキ500SSマッハⅢは“ジャジャ馬”だからイイ!? 極上の1台に乗った!!! かつての世界最速マシンの価格は驚きの……
量産二輪車世界最速を誇った“ジャジャ馬”
大野:そのジェット加速を感じてみたいけど、そこまでまわすのがちょっと怖いですね。公道でも体験できるものですか? カワニシ:低いギヤで引っ張ればそんなにスピードを出さなくても体感できるけど、すると前輪が持ち上がってウイリーする可能性もあるし、コントロールが難しいですよね。 大野:でもジャジャ馬の雰囲気は味わえました! エンジンが小刻みに振動していて、音もガリガリ、バリバリバリ!って、マッハIIIのイメージどおりでしたね。なにしろ2ストロークエンジン自体が初めてだったので、新鮮でした。 カワニシ:1960年代当時の量産二輪車としては世界最速の200km/hを誇ったバイクですから、全開加速はめちゃくちゃ豪快ですよ。開発時のテスト走行では既存のタイヤが加速に耐えきれずトレッド剥離してしまい、ダンロップがマッハ専用のタイヤを開発したという逸話があるぐらい。 大野:いつか機会があれば思い切り走らせられる場所で試乗して、その伝説的な加速を味わってみたいですね。とはいえ調子がいい個体はもはや希少なんですよね? カワニシ:そうですね。調子がいいものはかなり少なくなっています。とくに今回試乗したのは燃料タンクのニーグリップ部分が抉られたようにプレスされた、通称“エグリタンク”と呼ばれる初期モデルなのでとても貴重なんです。価格も上がってきていて、程度のいいマッハIIIは300万円台が相場ですね。 大野:今回はそんな希少なモデルに試乗させていただき、本当に嬉しいです。今回試乗した数台の中でもマッハはいちばん現代のバイクとの違いを感じるというか、「旧車に乗っている!」という感じがしました。バイクがまだまだ未完成で、だからこそ“夢”が溢れていた時代の空気を感じさせてくれる一台ですね。
大野拓朗(おおの・たくろう)
1988年、東京都出身。2009 年に第25回ミスター立教に選出。2010年に俳優デビュー。NHK連続テレビ小説や大河ドラマをはじめ、数多くのドラマ、映画、ミュージカル、舞台作品に 出演。2023年11月25日からは舞台の本場である英国のミュージカル『Pacific Overtures (太平洋序曲)』に、リードロールとして出演中。英国ガーディアン紙をはじめとした劇評で高評価を得ている。 文・河西啓介 写真・安井宏充(Weekend.) スタイリスト・堀直樹 ヘア&メイク・Ryo 編集・稲垣邦康(GQ) 取材協力・UEMATSU