13日に台湾総統選 圧力強める中国との関係が争点に…若い世代には閉塞感も 日本への影響は?【#みんなのギモン】
■若い世代に広がる閉塞感 「中国との距離感」模索する選挙に
情勢はどうなっているでしょうか。メディア各社の世論調査では、与党・民進党の頼清徳氏がリードしています。メディアによってばらつきはありますが、最大野党・国民党の侯友宜氏との差が小さくなっている調査もあり、三つどもえの争いとなっています。 台湾として将来独立するか、それとも中国と統一なのか、台湾の民意の多くは「現状維持」「今のままでいたい」というものですが、「中国との適切な距離感」を模索する選挙となりそうです。 蔡英文氏が勝利した過去2回の選挙では「天然独」(“生まれながらの独立派”を意味し、若い世代を指す)の影響が、非常に大きかったのです。しかし今は、台湾の中でも経済格差が広がり、若い世代で閉塞感が広がっています。台湾の街頭で話を聞きました。 27歳 「家が買えない。これが最も深刻な問題だ」 22歳 「給料が低すぎる上に物価が高すぎる」 36歳 「貧富の差が激しすぎる。何もかも値上がりして、給料だけ上がらない」 今回、上記のような若い世代が、中国との関係、暮らしや経済について、どういう選択をするかによって、選挙の結果が動くとみられています。
■「台湾統一」掲げる中国・習近平政権
中国はどんなスタンスなのでしょうか。 今の習近平政権は「台湾統一」を掲げ、台湾の動きを強くけん制しています。2022年に3期目に突入したときの党大会の演説では「祖国の完全統一は必ず実現しなければならず、必ず実現できる」と強調。さらに「武力行使も放棄しない」とまで言っています。 大みそかに発表した新年の祝辞でも「祖国の統一は歴史的必然である」と述べて、台湾総統選挙直前にあらためて強調しました。
■習主席が「台湾統一」にこだわるワケとは?
ここまで習主席が「台湾統一」に長年こだわるのはなぜなのか。そこには、習主席の“トップとしての意地”があります。 習主席は建国の父・毛沢東氏に並ぶ“歴史に残る指導者”になるため、手に入れたいのが「『台湾統一』という実績」、つまり「レガシー」です。そのため、中国に近い国民党が政権を握れば「統一の実現に一歩近づくのではないか」と思っていて、だからこそ今回の台湾総統選への関与を強めています。 中国は、リードする民進党を「台湾独立勢力」と位置づけ、いわば敵視しています。民進党が再び勝利した場合には、さらに台湾への圧力を強める可能性もあります。