「教育」と「楽しい!」って両立する? トラウデン直美が探る、幸福度まで上がる教育のヒント
トラ 何か解決の糸口はあるのでしょうか? 久本 地道ですが、やはり対話だと思っています。私自身も10年前に会社経営で行き詰まり、社員と信頼関係を築けずに孤独を感じていました。社員間で毎週のようにいざこざが起きて、火消しに追われることも。でも、チームビルディングやファシリテーションを学んで試行錯誤するうちに、話を聴いて本音でぶつかり合うことで解決できると腹落ちしたし、メンバーの幸せにもつながって自走できるチームになったんです。この経験を教育にも生かしたくて。 トラ 大人たちがなんでもハラスメントだ、踏み込みすぎだと壁をつくると、お互いに意見も言えない世の中になってしまう。久本さんの活動を見ても、人と人が集まって関わったらこれだけ大きなムーブメントが起こせるわけで、立場や価値観が違うからと関わりを避けて、チャンスを失ってしまうのはすごくもったいないと思います。 久本 そうなんですよね。オモロー授業発表会では、保護者や地域の方、教員を目指す学生から「先生方の奮闘を知り、あきらめていたけど希望が持てた」という声をよくいただきます。その声を受け「応援してもらえてうれしい」と先生方の自尊心が高まり、子供たちとの対話をもっと大事にしたいという意欲が芽生えています。さらに「職員室を変えたい」「他の先生も巻き込みたい」と、ますます進化中で。 トラ 地域が見守ってくれている実感が力になるんですね! お話をうかがって、ふと小学生の頃の記憶が蘇りました。地域の方が関わってくださった行事や体験授業がすごく楽しくて、田植えや竹とんぼづくりなどの思い出は今でも鮮明に残っています。実は…、私もいつか幼稚園をつくりたいという野望がありまして。子供たちに色んな経験をしてほしいなと。 久本 ぜひ応援させてください! 子供たちが自分で考えて、自分で決める。自由に生きる力を養うことが教育の原点だと思います。失敗や友達とのケンカも含めた経験が、未知への不安を和らげ、人にも寛容になれる。そうやって成長していく子供を増やしていきたいですね。