それは時間を生み出すプロダクト。業務自動化プラットフォーム「Yoom」代表 波戸崎駿インタビュー
道なき道を拓き、未だ見ぬ新しい価値を世に送り出す人「起業家」。未来に向かって挑むその原動力は? 仕事における哲学は…? 時代をリードする起業家へのインタビュー『仕事論。』シリーズ。 それは時間を生み出すプロダクト。業務自動化プラットフォーム「Yoom」代表 波戸崎駿インタビュー 今回は、「We make time. テクノロジーを用いて人々に時間を取り戻す」をミッションに掲げ、AIで日々の膨大なタスクを自動化するツール「Yoom(ユーム)」で社会にインパクトを与えるYoom株式会社の波戸崎 駿(はとさき しゅん)さんにインタビュー。起業の背景や、M&Aを経てたどり着いた現在の事業について伺いました。
成長事業を手放してまでAIを選んだ理由
──まずは起業の経緯を教えてください。 子どものころから「起業家になりたい」という夢があり、大学生の時はネット通販などのビジネスをしていました。お金を稼ぎたいというよりも、「事業で利益が出る」ことが楽しかったです。ただ、売り上げの金額には非効率性を感じて、事業をちゃんと勉強したいと。 それで、「新規事業ができる」ということで株式会社じげんに新卒で入社。「プログラミングを書く以外は全部やる」という感じでセールス、マーケティング、事業企画などを経験させてもらいました。 入社当時は社員20人くらいのベンチャー企業でしたがマザーズに上場し、東証一部まで昇格したころに退社しました。(※東京証券取引所 市場再編前の区分) ──会社はかなり成長して、事業も任されて充実していた時期だったのではないですか? はい、まさに。ですが、ちょうどそのころAIの波がきて「おそらくこれはインターネットの登場を超える技術革新になる」と思ったんです。 この波を逃してはいけない、という気持ちで起業を決めたのが2018年です。 ──ChatGPTが出てくるよりもかなり前ですね。 はい、当時はまだChatGPTなどはなかったですが、AlphaGo(アルファ碁)が世界トップクラスの名人相手に勝利をおさめるなど、AIの活躍がニュースになりはじめていました。自分もそのあたりでAIを意識するようになったんです。 それで2019年の1月に株式会社TimeTechnologiesを立ち上げました。 そこでは「アルゴリズムソリューション」と名付けて機械学習アルゴリズムを作成し、販売していたのですが、その中でもメッセンジャーアプリ「LINE」のマーケティング向けのアルゴリズムが急激に売り上げを伸ばしたんです。 企業様の公式アカウントにアルゴリズムを組み込むと、配信する内容やタイミングをユーザーに合わせて運用できる、といった商品です。これは、のちに「AutoLine(現:Ligla)」となってM&Aに至った商品になります。 ──そこまでの成長事業を手放したのはなぜですか? 当時、TimeTechnologiesで開発していたもう1つのプロダクトが、「さまざまなSaaS・AIと連携した独自の業務ツール」でした。それが現在、弊社で販売している「Yoom(ユーム)」です。 TimeTechnologiesでは、このYoomとAutLineの2つの事業に取り組んでいたのですが、両方を同時に伸ばしていくのが難しくなってきたんです。開発を進めながらシステムエラーがあればそちらの対応もしなければなりません。 やはり1つにフォーカスしたほうがいいと判断し、M&Aに踏み切りました。 ──AutoLineよりもYoomを選んだ理由は? 売り上げ規模としてはAutoLineの方が断然大きかったのですが、「We make time. テクノロジーを用いて人々に時間を取り戻す」というミッションにより早くたどりつけるのはどっちか、と考えるとYoomだと判断しました。 AIで事業を展開していくときに、何がもっともインパクトをもたらすかと考えたら、おそらく「時間を生み出すこと」だと思ったんです。15年、20年と経って振り返っていたときに、「仕事の自動化はすごかったよね」と言われる時代が来ると思っていて、それこそが最大級のインパクトではないかと。