「65歳で夫婦ともリタイア」令和では難しい?2025年度からすべての企業で「従業員の65歳までの雇用確保」が義務化
65歳以上「無職夫婦」十分に貯蓄できているのか
統計局が5月17日に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」によると、65歳以上”無職世帯”の貯蓄額は平均で2504万円でした。 過半数は預貯金で保有し、そのほかに生命保険が16.5%、有価証券が19.2%などと振り分けられています。 確かにインフレなどのリスクを踏まえると、預貯金だけでは資産の実質的な価値の目減りが心配です。バランスよく分散させることは、資産を増やす時期から守る時期に移行したあとでも安心といえます。 一方、勤労世帯も含む65歳以上の全世帯に目を向けると、貯蓄残高の平均値は2462万円、中央値は1604万円となりました。 平均値が下がったことから、充分な貯蓄がないために就労を継続している世帯が一定数いると推測されます。 ただし、2500万円以上が34%。2000万円以上まで広げるとおよそ41%となり、十分な貯蓄を保有する世帯も多いと見て取れます。 貯蓄100万円未満の世帯が8%、500万円未満の世帯が約22%となっており、高齢者の就労率(65歳~70歳で過半数)とも関連性が見えてきます。
老後に向けて何が必要なのか
ここまで65歳以上の就業率や貯蓄額、年金額等について見ていきました、 ご自身の老後を想像したときにこの数字を見てどう感じられましたでしょうか。多くの方はご自身の老後に不安を感じているのではないでしょうか。 実際の所、今回見たデータもあくまで現時点となりますので、働いている世代でこれから年金を受け取るとなった際には状況も変化している可能性もありますので注意が必要です。 つまりは、年金だけに頼らない何かしらの準備が必要ということです。例えば、「NISA」や「iDeCo(確定拠出型年金)」の活用です。 ●NISAの活用 NISAは(少額投資非課税制度)は、株式や投資信託などで得た利益が非課税で受け取れる制度です。2024年に新制度となり大きな注目を浴びました。 これまで資産運用に興味がなかった方も、この機会に始めてみたいといった相談を筆者は多く受けます。 NISAを活用した積立投資は、毎月一定の金額を積み立てていくことで、老後に向けて貯金だけでは貯められない資金を作っていくことが可能です。 また、小額からでも始めることができるので無理なく続けやすい仕組みとなっています。 ●iDeCo(確定拠出年金)の活用 iDeCo(確定拠出年金)は、将来に向けて毎月掛け金を掛け、自分で年金を作る制度になります。 NISAとの大きな違いとして、掛金が全額所得控除の対象となり、所得税と住民税の節税効果が得られる点が特徴です。また、資産を受け取る際にも、「退職所得控除」や「公的年金等控除」の対象となります。 将来に向けて積立をしながら節税効果が得られるため、会社員の方には手取りを増やすことができるという点からもおすすめとなります。しかし、iDeCoには原則60歳以降にならないと引き出せないなどのデメリットがあるので注意は必要です。 この機会にNISAやiDeCoは自分に合っているのかや他の運用方法がいいのかを知ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。