コンビニ各社で国産小麦活用進む 食感向上 安定調達 「安心」イメージ追い風に
大手コンビニ各社が、パスタやうどんといった麺類商品を中心に国産小麦の活用を広げている。もちもちとした食感の向上や、原料の安定調達につなげる狙いがある。“国産”が持つ安全・安心なイメージも追い風となり、顧客から高い支持を集めている。小麦の国産化が、消費者に身近なコンビニを舞台に進んでいる。 ローソンは9月下旬から、国産小麦を100%使用した生パスタを販売している。従来品に比べて、もちもちとした食感でソースが絡みやすい点が特長。「カルボナーラ」、「北海道たらこ」、「ボロネーゼ」(各599円)の3種類を展開しており、同社は「(発売以降)いずれも販売は好調」とする。 同社は、「カレーうどん」や「きつねうどん」といった麺類でも国産小麦を使う。国産小麦を使った商品は「安心感、味わいなどの点で客の評価は高い」(同社)とみる。 セブン―イレブンは今春から、カップうどんや中華麺といったチルドの麺類弁当に使う小麦粉の全量を国産に切り替えた。原料の持続的な安定調達が狙いで、地域によっては地元産小麦を使って商品化しており、地産地消にもつなげる。 ファミリーマートでは、調理面カテゴリーに使用する小麦粉の約9割が国産小麦となる。一部商品では国産小麦使用をパッケージでアピールしており、安心や安全を求める消費者ニーズを狙う。同社ではどら焼きなどの半生菓子などでも国産小麦を使用している。 小麦は、国産シェアの拡大が求められている。農水省見通しによると、2024年度の小麦の国内需要量は556万トン。対して24年産の国内生産量は100万トンで、全体需要量の18%にとどまる。 国産小麦の増産に向け、製粉業者や実需が求める量と質の安定が課題だ。近年は、パンや麺に向く硬質小麦の作付け比率が高まっており、「国産の品質が底上げされてきた」(大手製粉業者)との評価もある。ニーズの高まりを国産の増量へとつなげられるか注目が集まる。(鈴木雄太)
日本農業新聞