Twitterの「クソリプ」問題を考える── 個人投資家・山本一郎
いまTwitterなどSNSの世界を騒がせている「クソリプ」問題はご存知でしょうか。 クソリプの語源ははっきりしませんが、恐らく「糞のようなリプライ(返事)」であります。その意味も、文字通り「つまらないツイートを相手に送りつけること」であり、誰もが気軽にコミュニケーションを取れるツールであるTwitterの使いやすさが却って災いとなって、相手のメンションやタイムラインにイラッと来るような発言が並んでしまう現象です。TwitterだけでなくFacebookなどでも発生します。 相手が不快に思うコミュニケーションの種類はいろいろあります。例えば、ほとんど交流のない人から突然送りつけられる“ため口ツイート”や“意識高い系のアドバイス”、“何の捻りもない否定”“埒の明かない曲解”など、読んでいて血圧の上がるタイプのツイートはさまざまです。何の気なしに「昨日は飲みすぎて今朝具合が悪い」などという近況をツイートしようものなら「いい歳なんですから、酒量ぐらいわきまえましょう」とか「安い酒を飲むから悪酔いするんです。私のいつも飲んでいる赤ワインはいくら飲んでも大丈夫です」などという上から急降下爆撃のようなクソリプを喰らって腹が立つケースはたくさんあります。しかも、大半は会ったこともない知らない人からの反応です。 ほとんどの場合、糞のようにつまらないコメントを送ってきた人に悪意はありません。本音でそう思い、伝えたいと思ってクソを投げてくるわけです。絶望するしかありません。おそらく、自分がつまらないことを書いているという自覚はないのでしょう。くだらない自分語りや曲解、言いがかりといったクソリプを送る人のアカウントを見ると、やはり読み手からは見放されているのか、悲しいようなフォロワーしかついていないというのが実情です。 SNSは手軽に発信できる分、質の低いコミュニケーションを投げ込んでしまいやすく、また文字だけでの表現ですので真意が伝わりにくいは仕方のないことです。クソリプ自体は突き詰めれば利用者のリテラシーや文意を読み解く能力に課題があり、また最近ではクソリプをマナーの問題と考える議論も盛んになってきました。ただ、これは過去にもパソコン通信の掲示板や、2ちゃんねる、国民的なSNSとして興隆を誇ったmixiでも、後からやってきたつまらない人のお陰でコミュニティが一気にクソ化し、人が離れていく現象を起こしました。Twitterでもそのような事態になってしまうのでしょうか。