増える留学生の日本就職 外国人採用を進めるべきか
パナソニックやユニクロ、ローソンなど、外国人の採用を増やす日本企業が増えています。外国人採用は日本人学生の雇用を脅かすのか。日本は労働力確保のために外国人採用を進めた方がいいのか。外国人雇用の問題に詳しい、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの戸田佑也氏に聞きました。 厚生労働省の資料によると、日本で働く外国人労働者の数は、特別永住者らを除き、68万2450人います(2012年10月末現在)。一方、外国人留学生が日本企業に就職した数は、2012年は1万969人と前年より2383人増加(入国管理局資料)。留学生の日本就職は、リーマンショックで一時落ち込んだものの、ここ10年では増加傾向です。国籍別では、中国出身者が最も多く約7000人。次に多い韓国の約1400人よりも圧倒的に多い数字です。
日本人学生の就職を脅かす?
――――留学生を採用する企業が増えているが日本人学生の就職を脅かしうるのか? 留学生の就職者数は増えていると言いつつも、現状は1万人程度であり、全体に影響を及ぼす規模にはなっていません(※2013年春の日本人の大卒就職者数は約37万6000人)。 今後、さまざまな職種で外国人採用が増えていくものと見込まれますが、それでも、留学生の就職希望と実態では乖離があります。日本学生支援機構の調査によると、50%超の留学生が日本企業への就職を希望していますが、実際に就職できているのは留学生全体の1割にも満たない状況です。外国人留学生は基本的に日本人と同じ採用試験を受けていますし、日本語の壁もあるようです。 ちなみに現在、大学や高専など日本の高等教育機関に在籍している留学生の数は約13万8000人ですが、国は2020年をめどに留学生30万人の受け入れを目指しています。
外国人を採用するメリット
――――なぜ企業は外国人留学生を採用するのか? 例えばこれまでは、ベトナムに進出するのでベトナム人を採用しよう、というような形でグローバル化を見据えた採用のパターンが一般的でした。それが最近は、海外展開の有無に関わらず、純粋に能力のある人材を確保するために留学生を採用する、というパターンも増えてきています。日本人学生の応募が多くない職種だと、能力の高い順に採ったら留学生ばかりだった、という例もあるようです。 一般的に、外国人留学生は、語学スキルがあるし、バイタリティーに富む傾向があります。また、母国と日本という2つの文化に触れていて、多様性のあるバックグラウンドを持っています。国によって、人間性や土地柄、文化、ビジネスマナーは違うので、こうした多様性を経営に生かすことができれば、アドバンテージは大きいです。