増える留学生の日本就職 外国人採用を進めるべきか
労働力人口をどう確保?
――――労働力人口の減少を外国人採用で補うべきとの考え方もあるが? 今後さらに少子高齢化が進み、労働力人口が減っていくのは確実で、これをどう補うかが問題です。対策としては、若者や女性、高齢者などの就業率を高めることなどが考えられます。例えば、結婚や出産で職を離れた女性が復帰しやすい職場環境づくりなども考えられます。 ただ、こうした対策を講じても、労働力人口の減少を補うことは難しく、考えられる方策はすべて実行するべきだと思います。その点で、外国人労働者の活用は大きな効果があると考えられます。 ――――外国人採用は進めていくべきか? 外国人を採用した企業側も「文化の違い」を受け入れないで「日本流」だけを押し付けたら、うまくいかないこともあるでしょう。ただ、グローバル展開を考える企業ならば外国人採用は必要だし、人手確保に悩んでいる企業なども検討する価値があるといえます。企業それぞれの事情に応じて必要性を判断すべきではありますが、経済・社会のグローバル化が進む中、多くの企業で積極的に考えていくことが求められるのではないでしょうか。 【用語】在留資格 外国から日本に留学する学生は、「出入国管理及び難民認定法」に定める「留学」の在留資格を取得するが、日本で就職する際は就労可能な在留資格に変更する必要がある。それには複数の種類(人文知識・国際業務、技能、教授など)があり、それぞれ資格別に可能な活動範囲が定められている。なお、日本では、飲食店の単なる接客や工場・建設現場の単純作業などの単純労働は認められていない(「定住者」など身分に基づく在留資格を持つ者や、「留学」の在留資格で認められた範囲のアルバイトなどは除く)。 ■戸田 佑也(とだ・ゆうや) 三菱UFJリサーチ&コンサルティング 政策研究事業本部(大阪)研究員。移民政策を専門とし、地域の国際化を軸としながら自治体の政策立案の支援に取り組んでいる。「基礎自治体の外国人政策に関するアンケート調査」等を実施するほか、今年11月に留学生をテーマとしたシンポジウムを開催する。