顔面痙攣(けいれん)は病気? 医師が顔の痙攣の治療・手術を解説 病院は何科に行くべき?
まぶたや頬がピクピクする原因はいくつかありますが、「顔面痙攣(けいれん)」は顔面の問題ではなく、脳の神経や血管に原因があるそうです。「顔面痙攣は病気?」「気になるから診てもらいたいけど、何科の病院に行くべき?」というお悩みや治療方法・手術について、脳神経外科医の田辺 英紀先生(町田脳神経外科/梅田脳脊髄神経クリニック理事長)にお聞きしました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
まぶた・目の下・口元・頬など顔が勝手にピクピク… 顔面痙攣(けいれん)が片側だけ起こる原因は?
編集部: まぶたが勝手にピクピクすることがあるのですが、これは病気ですか? 田辺先生: 必ずしも病気とは限りません。時々まぶたがピクピクして、しばらくすると治る、というのはどなたでも経験があると思います。これはストレスや緊張した時などに起こりやすいと言われています。 編集部: あまり心配しなくても良いのですね。 田辺先生: ほとんどの場合は心配はいらないのですが、脳の神経や血管に問題がある場合もあるので、注意が必要です。顔の片側が無意識にぴくぴく動く病気を「顔面痙攣(けいれん)」と言い、脳の血管が顔面神経と接触・圧迫して神経を刺激することで起こります。また、まれに血管ではなく脳の腫瘍が原因の場合もあります。 編集部: なぜ顔の「片側」なのですか? 田辺先生: 顔面神経は左右にあり、顔の右側と左側では運動を司る神経が異なります。このため、左右のどちらかだけに症状が出るのです。 編集部: 担当している神経が違うのですね。 田辺先生: そうですね。顔面神経は末梢で枝分かれしており、それぞれ異なる顔面筋の運動を司っています。また、症状の進行の仕方としては、初期はまぶたの痙攣が多く、進行するにつれて徐々に頬や口元がうごくようになってきます。
顔が勝手に痙攣するときは何科の病院を受診すべき? 顔面痙攣で考えられる病気や重症化のリスクを医師に聞く
編集部: では、顔がピクピクするときの受診の目安を教えてください。 田辺先生: ごく稀にピクピクし、しばらくすると消失する、という場合は、すぐに受診をしなくても良いかもしれません。しかし、頻度の増加、範囲が広がっている、目をきちんと開けられずに運転ができないなど日常生活に支障が出たり、顔面のピクツキが気になって、人と会うのを避けるようになってきたりなどの場合は、適切な医療機関に相談してください。特に女性は、顔の動きが気になって精神的ストレスを感じる方が多いようです。 編集部: 何科を受診したら良いですか? 田辺先生: 顔面神経は脳神経なので、脳神経外科を受診すると良いでしょう。さらに、顔面痙攣を専門に診てくれるドクターのいる医療機関がおすすめです。顔面痙攣かどうかを適切に判断してもらえますし、ほかの病気が隠れていないかも確認してもらえます。 編集部: 目の周りなので眼科に行くのかと思っていました。 田辺先生: 目の周りが動くので眼科に行かれる方も多く、「ボトックス治療(注:筋肉をマヒさせる毒素・ボツリヌスを注射する治療)」という、見た目的に痙攣をおさえる治療をされる先生方がいらっしゃいます。その場合、三か月ごとに注射を打ち続ける必要があり、長期的に継続すると筋萎縮で表情が変わるなどの合併症が起こる可能性があります。 編集部: ほかの病気が隠れている場合もあるのですか? 田辺先生: そういったケースも考えられます。先ほどもお伝えしましたが、まれに、血管の圧迫ではなく脳の腫瘍が原因である場合もあるので、そういった可能性を否定するためにも、一度はきちんとMRI検査しておくと安心です。 編集部: 顔面痙攣を放っておくと、どんどん重症化していきますか? 田辺先生: 目の周り→頬→口角と、範囲が広がるように重症化していくこともあれば、初期であればそのままにしていても一時的におさまるなど、個人差があるでしょう。ただし、長くなると自然に治ることはほぼありません。