手首メモ“wemo”や筒形タオル“STTA”など…「ケンマ」逆転の発想力とは
広がるデザインの可能性~万博プロジェクトにも参画
神奈川・藤沢市の藤沢郵便局で事務員として働く小野寺朗さん(63)は「ウェモ」の愛用者で、上司からの指示を、すぐさま書き留める。小野寺さんは50歳のとき、若年性認知症と診断された。この先、仕事を続けられるのか。そんな不安を取り除いてくれたのが「ウェモ」だった。 「本当に命綱みたいなものです」(小野寺さん) 今井のデザインが人々の悩みの解決に役立ったというケースが増えている。 「狙っていたわけではないんです。デザインを突き詰めてやっていくと、たまたま社会課題解決や社会性のあるものにも役に立ったというのが積み重なった」(今井) そんな今井は今、新たな挑戦を始めている。
埼玉・坂戸市の高齢者施設「SOMPOケアラヴィーレ坂戸」で、入居者が毎回楽しみにしているのが「旅介ちゃんねる」というオンライン旅行のサービスだ。この日は出雲大社。施設にいながらにして旅行気分を味わえ、同時に体操もできる。 その場に今井の姿があった。今井は、来年開かれる大阪万博に関わっている。遠出ができない高齢者や障害を抱えた人たちが万博を楽しむためのプロジェクト。そのビジネスデザインを任されたのだ。 「『旅介ちゃんねる』で見たいですか?」「昔の大阪万博で覚えていることはありますか?」などと聞いて、現場で拾った声をヒントに、万博のオンライン旅行や現地でのサポート態勢を考えるのが狙いだ。 ビジネスデザインの力で社会課題の解決を目指す。それが今井の次なる挑戦となる。 「リアルな映像で行った気分になれる、この楽しみ方も万博の楽しみ方の一つとしてあるべきものだと、お話を伺って改めて実感しました」(今井) ※価格は放送時の金額です。 ~村上龍の編集後記~ 100万本を売ったwemoを、絵で説明できるだろうか。リストバンドだが、それにメモなどを書く、ということで看護師の必須アイテムとなっている。絵で説明することはできない。「STTA」はどうか。吸水スポンジのタオルとして売れているが、これも絵では説明不可だ。茶葉を入れたボトルを店舗外にあるカウンターで販売というのは、絵で説明できない。今井さんは、絵では説明できないデザインを提案する。絵が下手だからということだが、それは才能だと思う。絵が下手という才能を駆使して今井さんはアイデアを見つける。 <出演者略歴> 今井裕平(いまい・ゆうへい)1981年、大阪府生まれ。2006年、神戸大学大学院自然科学研究科修了後、安井建築設計事務所入社。2008年、日本IBM入社。2010年、電通コンサルティング入社。2016年、kenma創業。 ※「カンブリア宮殿」より
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