「AIエージェント」が企業に与えるインパクトとは? NECの会見から考察
NECの生成AIにおける3つの進化とは
以下、同社の取り組みのポイントを紹介していこう。 1. AIモデルの強化 NECが独自に開発した生成AI「cotomi」を強化した。 山田氏によると、「世界最高水準の日本語処理性能をさらに向上させ、高度なワークフロー自動化に対応させた。医療や金融などの高精度および高速性のニーズに向けてこの12月より順次提供する」とのことで、今回の説明会に合わせて発表した。 ポイントとしては、「世界最高水準の(日本語処理の)精度(注)と速度をさらに強化するとともに、根拠を提示することで信頼性を向上させた。また、自己学習でプロンプト作成の負担を軽減する。性能はそのままで電力効率を2倍に改善した」といった点を挙げた。 (注)「Japanese MT-Bench」を使ったNECの社内再現評価による。 2. 「NEC AI Agent」の開発 第一弾としてエンタープライズサーチの自律実行を可能にするAIエージェントサービスを2025年1月から順次提供すると発表した。 ポイントとしては、「細かな指示なしで業務プロセスを自律的に遂行するとともに、タスクフローの最適化で正確な業務の推進を実現できる」といった点を挙げた(図6)。 山田氏は図6右側について「AIエージェントに『お客さまへの提案書を作ってほしい』と依頼すると、お客さまの課題は何かを調べ、他社の動きをチェックし、社内にあるアセットを調べるなど、総合的な観点から情報を集めて提案書を作ってくれる。これまで人間がやっていたことをAIエージェントが実行する形になる」と絵解きした。 3. マルチモーダル対応の拡大 マルチモーダルの資料をRAG(検索拡張生成)で最大限に活用する機能を2025年1月から提供開始すると発表した。 ポイントとしては、「図表の構造をも理解することでテキストの流れを正しく理解し、図表に含まれる暗黙のルールを読み取り、正確な情報を抽出する」といった点を挙げた(図7)。 さらに、山田氏はAI規制への対応について、「世界的に強化されるAI規制に確実かつ迅速に対応していく。日本でも経済産業省から『AI事業者ガイドライン』という形でAIサービスにおけるガイドラインが示されている。当社ではその全ての項目に対して、技術あるいは開発プロセスの仕組みによって対応することで、お客さまにサービスを安心して使ってもらえるようにする」と説明した(図8)。 こうしたNECの取り組みから、AIエージェントが企業にもたらすインパクトを感じられただろうか。筆者は、企業そのものが「AIロボット化」していくようにも感じた。この点についてはさらに考察を重ねたい。